佐藤優『日米開戦の真実』

日曜日。雪。
休日&クリスマスで、さらに雪なのに出勤。
佐藤優『日米開戦の真実』読了。大川周明の『米英東亜侵略史』を収録し、佐藤優の解説・主張を述べた本。歴史、国家、外交、戦争など、色々なことを考えさせられる。いわゆる「大東亜戦争」について、日本の国民は騙されていたわけではなかったということ。当時と今とでは、国民の「戦争観」は大きく異なっている。当時は、戦争というものは今よりも国民の忌避感が少なかったのだ。また、これは今でもそうだろうが、日本人の外交意識は「性善説」的であるけれども(例えば外交音痴であった鳩山元首相の「友愛」外交)、諸外国は皆、基本的に「性悪説」の下で外交のロジックを組み立てているということ。外交の「性善説」は、必ずしもよいことばかりではない。それが裏切られると、激烈な反動が来てしまったりするし、侵略された中国の痛みに鈍感であったようなことになる。等々。

日米開戦の真実 (小学館文庫)

日米開戦の真実 (小学館文庫)

NHKの『坂の上の雲』最終回「日本海海戦」を視る。三年間に亙って放映されたが、どう評価するべきか。モッくん(本木雅弘)の演技は相変らず見事だったし、俳優は実力派が揃っていて、そういう点では安心して見られた。しかし、個人的には、戦争の話は結局見ていてしんどかった。撮影のスケールは確かに大きかったが、戦争の悲惨さも強調され、陸戦では延々と肉弾戦の殺し合いを映したり、砲撃で兵士が吹っ飛ぶところも少なくなかった。海戦も、砲撃の着弾で血が飛び散ったり、ロシア兵が海に沈んでいったりと、迫力があるといえばそうだが、あまり気分のよいものではない。そして、戦闘シーンは多かったのだが、陸戦・海戦の経過はわかりにくく、ネットで調べるなどして補わねば、見ただけで終ってしまうことになる。また、史実がそうなのだから仕方がないのだけれども、重要人物である正岡子規は早々と死んでしまう。
 全体としては、俳優陣の好演を評価すべきかと思う。また、視ていて否応なく、日本の近代史を考えざるを得なくなった。日本の近代史は、綱渡りの連続だったということである。そして、第二次世界大戦の敗北があり、奇跡の復興があり、今に至っているということ。

本木雅弘阿部寛の対談(こちら