晴。
ハンス・ヨナス『責任という原理』読了。著者のことはグノーシスの研究者として知っていた。本書は新たな時代における、あるべき倫理学の試みである。本書をまことに乱暴に要約してしまえば、我々には人類の滅亡を防ぐという命題が不可欠になったのであり、そのためには(とりわけ後世に対する)責任というものを、倫理の根底に据えねばならない、という感じだろうか。科学技術の制限という問題にも、多くの頁が割かれている。尤も本書はきわめて多くのことが論ぜられており、叙述も簡単なものではない。実際、自分も読むのはかなり大変だった。訳者によれば原文のドイツ語は古めかしい難解なものらしく、ドイツ人でも現代の学生などではなかなか読めないほどであるという。それにもかかわらず、本書は1979年に出版されて以来、ドイツでは高い評価を得ているというのだから、本書の重要性がわかろうというものである。
- 作者: ハンスヨナス,Hans Jonas,加藤尚武
- 出版社/メーカー: 東信堂
- 発売日: 2010/11/01
- メディア: 単行本
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マレイ・ペライアのピアノを聴く。ショパンのバラード第一番、ブラームスのラプソディ第一番、スカルラッティのK.27, K.212。前からペライアは嫌いではなかったが(バッハのゴルトベルク変奏曲など)、今になってもっと聴いてみたくなった。という訳で、HMVで注文。