トマス・アクィナス/イブン・ジュバイル

曇。
トマス・アクィナス『君主の統治について』読了。君主の鑑(speculum regis)。

君主の統治について―謹んでキプロス王に捧げる (岩波文庫)

君主の統治について―謹んでキプロス王に捧げる (岩波文庫)

『イブン・ジュバイルの旅行記』読了。十二世紀グラナダイスラム教徒による、メッカへの巡礼記。記述は相当しっかりしていて、読んでいてなかなか面白い。ちょうど十字軍と同時代で、サラーフ・アッディーン(サラディン)に関する記述や、十字軍占領地の話もある。それにしても、よくこんな本が文庫に入ったと思う。
例えば、メッカのメロンについて。
「当地の果物はどれも見事であるが、とりわけメロンの品質は優れている。というのも、その馨しさは最高であり、誰かがメロンを携えてあなたのいる部屋へ入って来ると、当人よりもメロンの甘い香りを先に感じ取るほどである。このためその香気を存分に楽しむのに気を奪われてメロンを食べるのを忘れてしまうくらいである。しかしいったんメロンを口にすれば、まるで砂糖水か、取りたての混じり気のない蜂蜜が溶け込んでいるかのように感じる。おそらくこれを読む人は大げさすぎると思われるだろうが、断じて誇張しているのではない。」(p.152-3)
イブン・ジュバイルの旅行記 (講談社学術文庫)

イブン・ジュバイルの旅行記 (講談社学術文庫)