麻布競馬場『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』

曇。
ウグイスが鳴きまくっている中で目覚める。あんまり上手に鳴けていないけれど。
 
死亡。ごろごろする。
外で小鳥がいろいろ鳴きまくっているのが聞こえる。
 
昼。
NML で音楽を聴く。■ブラームスの三つの間奏曲 op.117 で、ピアノはラルス・フォークトNML)。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第一番 op.15 で、ピアノはラルス・フォークト、指揮はサイモン・ラトルバーミンガム交響楽団NML)。第二楽章はそこそこよかった。ピアノは両端楽章がまだベートーヴェンにしっかり到達していない。それから、全体的に指揮のラトルの方が芸がある。ラルス・フォークトは2022年に51歳で亡くなっているのだな。ラトルが推したことで有名になったピアニストらしい。フォークトについては 2019.5.14 に結構辛口で書いているが、いま自分で読んでも納得できる感じだ。■ラルス・フォークトの弾き振りでブラームスのピアノ協奏曲第一番の冒頭を聴いてみたが(NML)、確かに見事な音の塊ではあると思うんだよね。でも、聴き続けられない。この曲に必要ないまひとつの深さが、どうしても足りないと思う。2018年の録音。
 
 
ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。チョコバナナフレンチ+ブレンドコーヒー451円。チョコバナナフレンチ、なかなかおいしいじゃん。
麻布競馬場『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』(2022)を読み始める。短篇集。いや、とんでもないな。既に今年いちばんの傑作と確定したかも。あるいは、全日本人の必読書でもあるか? わたしには、「東京の空疎」をここまで(わたしというダサい田舎者の)イメージどおりに描いてみせた文章は、初めてだ。いや、実際の東京の人間が、どれだけ小説の登場人物のような空疎な人間かは、もちろんわたしごときにはわからないのだが。
 そもそも、出てくる固有名詞(たぶんそのほとんどが実在するんじゃないか)や一般名詞の多くが、わたしにはまったくわからなくて笑える。試みに、列挙してみよう。グラニフ、ビームス、麻布テイラー、仲通り、清澄白河、キツネカフェ、Nujabesさくら水産流山おおたかの森、とりのすけ、白金高輪コンラッド二子玉川バルミューダ、Tinder、東カレデート、アクアパッツァ、チェスティ、マイケルコース、リファラル採用武蔵小山、オーラリー、ドリス、ケンゾーエステート、イケア、エノテカ、カプレーゼ、スプマンテ。もういいだろう、これらの名詞を検索すると、自分が何も知らないことにマジ笑えるのだ。どの短篇にも必ずといっていいほど大学(すべて実在する)の名前が出ており、そのすべてが東大を頂点とするハイアラーキーを形成する、徹頭徹尾ブランドとしてのみ、意味作用している。(東京のみならず、地方も含めた)地名のコノテーション。頻出するマッチング・サービスと、セックスと、タワーマンション。「マジメ」をうとましがりつつも、自分の人生の空疎さにほとんど飽きている、主人公たち。何者かになれると漠然と思っていたのに、何をしても、大した才能のない、凡庸さ。いや、「東京の空疎」ということは、我々田舎者も含めた、日本の空疎ということだ。まったく、リアルそのものではないか。続けて読む。しかし、文学ってのは、なくならないもんだな。驚いた。
 
麻布競馬場『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』読了。傑作で、マジお勧め。我々の虚栄心がどこに至り着くかを、見事に描き出している。人生に生きる意味など、何もない。
 
なるほどー、「東京カレンダー」ってサイトがあるのかー。で、それのマッチング・サービスが「東カレデート」なわけね。知らねーよ、そんなの笑。
 
 
夜、雨。
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