森まゆみ『にんげんは夢を盛るうつわ』 / 河合隼雄&柳田邦男『心の深みへ』

日曜日。晴。
 
NML で音楽を聴く。■ベートーヴェン弦楽四重奏曲第六番 op.18-6 で、演奏はプラジャーク・クヮルテット(NMLCD)。
 
午前中、30分ほど散歩。



わたしにはうまく撮れない山茶花サザンカ)。少し離れて撮った方がいいかな。高速道路ののり面にて。

なんだこいつ。川で水浴びをしていた。(後記。どうやら鷹らしい。野生の鷹がこのあたりで生きていけるのかな。)
 
曇。
図書館から借りてきた、森まゆみ『にんげんは夢を盛るうつわ』(2002)読了。わざわざ購入した『武満徹著作集』がもうすぐ読み終わるので、岩波書店の新書版『鷗外選集』全21巻を買おうかと何となく思っているのだが、本書を読んでそれいいかもという気が強くなっている。学生のとき古本屋で1万5000円くらいだったような記憶があるが、全集類が売れなくなったいまでは、その半分、いや三分の一以下の値段で買えそうだ。

中村哲さんと会って話を聴くところ、おもしろかった。「人間らしい暮らしは貧しさの中にしかありえない」と中村さんは仰ったとのこと(p.154)。それはまったく同感だが、我々は弱いので、快楽に満ち溢れた「文明の毒」にさらされたら堕落する他ない。わたしもまた、その中のひとりにすぎない。
 
 
図書館から借りてきた、河合隼雄&柳田邦男『心の深みへ』(2002)読了。副題「『うつ社会』脱出のために」。対談集。深く感動すると共に、勇気づけられた。わたしのしていることはただ生きてるだけで(そしていつかは死ぬ)、それは本当にちっぽけなことだけれども、それでももしかしたら、何の役にも立たない、ということはないのかも知れないと、元気づけられもした。わたしが生きていることも、ほんの数人の人には意味がないでもないのかも知れない。って、落ち込んですぐ忘れそうなことだけれども笑。柳田さんが次男を自殺で亡くされて、それを本に書いて立ち直ろうとされたとき、河合先生の言葉で心の支えになったのに、「人間は物語を作って生きている」「人間は物語らないとわからない」というのがあったと言っておられるが(p.181)、これは深い言葉である。ほんと、我々にとって物語は生きるよすがなのだ。それは既存の小説やドラマやアニメなどなどというよりは、自分で知らぬうちに、自分の「物語」を、作り出しているのである。そうしなければ、生きていけない。物語は、世界に自分を定位させる、自分の場所を作り出すのである。