『吉田健一随筆集』

晴。

このところのわたしは基本的に本が読みたいわけではなく、音楽も別に聴きたくなく、アニメもお休みで、夜は寝転がりながらダラダラと You Tube でも見ていたりするというだらしなさである。昨日なんかはP丸様。の下らない動画や、極真のフランシスコ・フィリォを見たりしていた。音楽、Ado とかは、若い人のやわらかいところに刺さるんだろうなー、それにしてもどれもすごい再生回数(軒並み1000万回を超えている)だとか、YOASOBI でほんとに好きなのは「夜に駆ける」だけだなとか、いろいろロックもいいけれど、結局オレの中ではアンチテーゼの新鮮さにすぎないんだよな、とか。VTuber って同工異曲ですよね。本、読むに値するのはいっぱいあるので、濱口先生の新書の続きは読まないと、吉本さんの全集も借りてあるし、ひさしぶりに吉田健一を買ったっけ。アニメは一時期観すぎて自分の処理能力を超えたが、いまだ消化し切っていない感じ、そのうちまた観るけれど、そういや SAO の劇場版がもうすぐ公開だったな。ラブコメアニメ(SAOのことじゃないよ)は正直めんどうになってきたけれど、まあ観る、でも昔の下らない『ゼロの使い魔』とかが結局好きなんだよね。『銀魂』を公式動画でちょっとだけ観て笑ってる。とか、そんな感じです。

少し前に近所にラーメン屋ができて、それがよく行列を作っているので、ひとりで昼食に行ってきた。中華そば麒麟という店である。駐車場がちょっと入れにくそうなので、マックスバリュに勝手に駐めさせてもらって、片道10分ほど歩いてみた。11時開店で、口コミでは開店前でも並ぶとあったが、5分前に着いたけれど、最初の客でした。
 食したラーメンは定番っぽい「濃厚中華そば」850円、無料で大盛だというので、そうしてもらう。食券を渡してわりと早く出てきた。醤油ラーメンだな、「濃厚」というのは醤油が濃くて、味はかつお節ベースの魚介系という感じかな? 麺の太さは中くらい。おいしいけれど、まあふつーというところか。味が濃いのでスープ完食はキツめだった。あんまり好みの味ではなかったが、おいしいことはおいしかった、もう一度食べようとは思わない。食べてみるなら、もうひとつの「貝だし」ってやつかな。
 歩いて往復したのが、天気がすばらしくよくて、コンデジをもっていけばなあと思ったくらいだった。世界は美しい。

肉屋。

20211020152228


中村光夫編『吉田健一随筆集』読了。

 
これはいい、こっちは鼻持ちならないな、こいつは意外にお説教だ、え、これはフィクションだよね、とか何とか吉田健一を楽しんだので、図書館から借りてきた堀江敏幸さんの新刊エッセイ集を今度は開いてみたのだが、文章がまるで頭に入ってこない。仕方がないので撤退。

岩波文庫『トオマス・マン短篇集』を読み始める。最近「ブ」で買ったもので、1979年に第1刷のもの(わたしの買ったのは第30刷。さすがはマンで、よく読まれたのだ)。これ、かつて読んでいないのかな。わたしはトーマス・マン、読むことは読んだが特に好きではないし、わたしにわかるとも思わないが、エンタメ的な筆力はすばらしく、読み手を惹き込む力がある。しかし、これを読み始めて感じたのは、そういうことよりも、村上春樹がいうような、翻訳・訳文の古さだった。翻訳は定期的に更新しないと、文章が古くなると村上はよくいう。確かに、かつてわたしにはすばらしかった中野好夫の翻訳が、いまの世代には読みにくいらしく、そんなものかと思ったものだ。でも、わたしは、こういう古い翻訳で外国文学を読んだのだよねー(大江健三郎!)。このマンも、いま読むと文章が少しいびつに感じられるのだが、けれどもこんな訳文ばかりで読んできたのですよ。なんだか、読みにくさとともに、なつかしさまで感じる。下らない感慨だが。

NML で音楽を聴く。■ショパンのピアノ・ソナタ第三番 op.58 で、ピアノはマウリツィオ・ポリーニNML)。覚えるほど何度も CD で聴いた録音で、NML で聴いてみたら音質は CD の方がよいかなと思った。Linux PC に USB DAC を付けて聴いているのだが、安物の DAC だから、それはあり得るかも知れない。まあでも、聴いているうちにそんなことはどうでもよくなってしまったが。この曲の終楽章が聴きたくなったので、ポリーニの圧倒的な演奏をひさしぶりに耳にした。ほんと、わたしの文章力では形容し切れない。なお、これは確か80年代初頭の録音で、ポリーニが70年代の硬質な演奏から、柔らかめの演奏スタイルに変わっていく最初の地点である。タッチや音色まで完璧主義者の追求が始まり、ゆっくりと段々おかしくなっていくのもここからだが、まだここでのショパンはまさに音色までも余裕をもって完璧だ。

ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第一番 op.78 で、ヴァイオリンは森下幸路、ピアノは川畑陽子(NML)。夢幻的。