ブリテンの「戦争レクイエム」を聴く

晴。
自信を失う夢。高校生くらいに戻っていて、学校に行っている。妹とかも出てくる。いろいろとやり直す必要があって、がっくりきているわたし。でも、これは逆説的だが悪くない夢だ。アポリアに嵌ったように感じていたが、変化の予兆。

この一月くらいアニメの残存感があったのだけれど、それが消えて爽快な気分。

スーパー。

ごろごろ。

NML で音楽を聴く。■シューベルトの幻想曲 ヘ短調 D940 で、ピアノはスヴャトスラフ・リヒテルベンジャミン・ブリテンNML)。この曲を初めて聴いたときの衝撃は忘れられない。もっとも死に近い音楽のひとつだと思う。

FANTASIE F MOLL D940 OP.1

FANTASIE F MOLL D940 OP.1

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■バッハの「三声のインヴェンション(シンフォニア)」全曲 BWV787-801 で、ピアノはシュ・シャオメイ(NMLCD)。

ベンジャミン・ブリテンの「戦争レクイエム」 op.66 を聴く(NML)。ソプラノはガリーナ・ヴィシネフスカヤテノールはピーター・ピアーズ、バリトンはディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、 バッハ合唱団、ロンドン交響合唱団、ハイゲート・スクール合唱団、指揮はベンジャミン・ブリテンロンドン交響楽団

聴き始めてすぐに歌詞対訳が必要なことに気づいたので、検索してみたところ、よいサイトを見つけたのでありがたかった。歌詞はラテン語部分と英語部分に分かれていて、英語部分は詩人ウィルフレッド・オーウェン(1893-1918)によるもの。オーウェン第一次世界大戦で25歳の若さで戦死した、イギリスのいわゆる「戦争詩人」。ラテン語部分はわたしにははっきりとはわからないが、「レクイエム」のミサ典礼文そのままでないことは明らか。
 ラテン語部分と英語部分が混ぜられて作曲されているが、互いに巧みに対照されていることがよくわかる。ラテン語部分は神の栄光と神への畏怖を歌っており、時にはきわめて荘厳、時には崇高で慰撫的ですらあるが、オーウェンによる英語部分は人間の愚かしさと悲惨を歌っている。それらが緊密に結合されているが、その後者、人間の愚かしさと悲惨、戦場における死のむなしさが特に強調されていることをわたしは感じる。その対比はあざやかで、深い印象を与えられるという他ない。最後は、「私が殺した敵」と私が、静かに眠りについて終わる。
 演奏は作曲者ブリテン本人による指揮で、名盤として名高いもの。曲はモーツァルトフォーレの「レクイエム」のようなメロディアスなものではまったくなく、ブリテンの他のオーケストラ付き歌曲と同様に、むしろ朗唱的な、不協和な感じがする。崇高な部分がたんに崇高でなく、あとで否定されるような構造になっているので、歌詞の参照は必須といえるだろう。ブリテンはまずはオペラ作家であるといわれるので、オペラを聴かないわたしにはしっかりとは理解し得ないように思われるが、とても感動したのも事実だ。いつかは聴きたい曲だったので、とりあえずは聴いてよかった、満足しているが、それにしても重い曲だった。

吉本隆明全集16』から「戦後詩史論」を一気に読む。