こともなし

晴。
昨晩は遅くて今朝は寝坊した。朝食に胡桃マフィンを食う。

スーパー。

2019年に全46巻で完結した、『闇金ウシジマくん』というマンガがある。現在若い世代(といってもどれほどのなのか、わたしにはいまひとつ判然としない)の共有地のひとつとして広く参照されているようなので、わたしもレンタルでちょっとだけ読んでいるところなのだが、あまり熱心にはなっていない。彼ら彼女らには何かしらのリアルが感じられるマンガのようであるが、それもまたいまひとつ判然とせず、わたしはスーパーマン・ウシジマくんの大活躍物語として読んでいる。絵柄は結構好きだ。まあ、何でもよいのだが、わたしはこのマンガを読んでいると、20年以上前の『ナニワ金融道』というマンガがどことなく思い出されてきて、なつかしい。あれは、我々の世代の共有地であった。もっとも、我々の世代のマンガは共有地として、いまよりも遥かに広い、共通意識的なものだったのであるが、それはまた別の話である。作者は青木雄二氏で、既に鬼籍に入られた。絵は素人といってもまあまちがいではなく、『ウシジマくん』の劇画調(この形容はおっさんですね笑)のそれと比べると、紙芝居みたいな素朴なものであり、いまの人にはそれだけで受け入れられない向きもあるかも知れない。
 その内容…、といってもひどくうろおぼえなのだが、いまの『ウシジマくん』は闇金で、だから完全に違法であり、利用客もほとんどクズ、破綻者で、それをスーパーマン・ウシジマくんは容赦なく破滅させたり、させなかったり、という感じ(少し読んだだけの感想である)なのだが、『ナニワ金融道』はあくまでも合法の「マチ金」であり、主人公はわりとふつうの男の子である。しかし、その合法の「マチ金」は、これもまたふつうっぽい利用者からカモを注意深く選び出し、意図的・操作的にその人生を破壊していくのである(「コロス」といったっけ、よく覚えていない)。わたしがいまでもぼんやり覚えているエピソードに(たぶん記憶ちがいがある)、ある若い男性利用客(学生だったか)に美人の姉がいることまで知って、最終的には計算ずくで借金のカタに彼女をソープに沈めてしまう話があったが、それはまったく淡々と行われ、その手法も見事に合理的かつ現実的であった。彼女は健気にむしろ前向きな気持ちまで抱いてソープに入るのであるが、冷徹なまでに合理的な心理操作が背後にあるのに気づきもしないのである。あれがバブル時代というものであったのか、知らないが、しかし、荒みきったように見える現代の『ウシジマくん』と、どちらが「ひどい」のか、知れたものではないとわたしは思う。
 そんなマンガがあったのだが、若い人たちは御存知だろうか?

ナニワ金融道 1

ナニワ金融道 1

 

昼から図書館。今日は借りないかと思っていたが、結局何冊か借りた。
市民公園の冬桜がきれい。


日没まで一時間ほど、散歩。


ホウレン草。













夜。
舘野泉の生きる力』を読み始める。なかなかおもしろい。音楽が聴きたくなる。
舘野さんの録音は NML でも Finlandia レーベルのものが聴けるようであるが、その他のレーベルのはないようだ。左手のピアニストになってからの録音も NML では聴けない。

NML で音楽を聴く。■ペール・ヘンリク・ノルドグレン(1944-2008)の「小泉八雲の怪談によるバラード」 〜 お貞 op.29、雪女 op.31、無間鐘 op.28 で、ピアノは舘野泉NML)。

ノルドグレン:小泉八雲の怪談によるバラード

ノルドグレン:小泉八雲の怪談によるバラード

  • アーティスト:舘野泉
  • 発売日: 1996/10/25
  • メディア: CD
 

池辺晋一郎のピアノ協奏曲第三番 左手のために〜「西風に寄せて」で、ピアノは舘野泉、指揮は野津如弘、ラ・テンペスタ室内管弦楽団