こともなし

晴。

NML で音楽を聴く。■バッハの「フーガの技法」 BWV1080 ~ Canon II alla Ottava, Contrapunctus V, Contrapunctus VI a 4 in Stylo Francese, Contrapunctus VII a 4 per Augmentationem et Diminutionem で、ピアノはセドリック・ペシャ(NMLCD)。■ハイドン弦楽四重奏曲第二十八番 Hob.III:31 で、演奏はハーゲン四重奏団(NML)。

Haydn: Sun Quartet/etc.

Haydn: Sun Quartet/etc.

  • アーティスト:Hagen Quartett
  • 発売日: 1994/10/04
  • メディア: CD
武満徹の「夢の時」で、指揮は尾高忠明BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団NMLCD)。■ストラヴィンスキーバレエ音楽春の祭典」で、指揮はロリン・マゼールウィーン・フィルハーモニー管弦楽団NML)。
Stravinsky / Bartok: Ballet Music

Stravinsky / Bartok: Ballet Music

昼から、老母を(運転)認知機能検査へ送っていく。車から出ると、ものすごく蒸し暑い。検査の間、1Fの喫茶店で待っているつもりだったのだが、営業時間が二時までだったので検査場の待合で待つ。平べったいイスに座って、安田峰俊の『八九六四』を読む。「八九六四」とは1989年6月4日のことで、この日付で何があったかすぐにわかる日本人は、いまやあまりいないだろう。これは、いわゆる「天安門事件」のあった日で、もはや事件そのものをよく知らない人も少なくあるまい。わたしは大学生になったばかりの年で、事件に際して新聞を食い入るように読んだことだけは鮮明に覚えている。本書は大宅壮一ノンフィクション賞城山三郎賞を受賞して、話題になった。三分の一ほど読んだが、確かにおもしろい。表面的でない取材がしてあるのがわかる。

帰りに肉屋に寄るつもりだったが、バケツをひっくり返したような土砂降りになって断念する。雷鳴。

管理。リスク。知性。論理。こんな抽象的な問題が、現代の我々の平凡なささやかな生活を規定していることは驚くばかりだ。嫌になってしまうくらい。我々おっさんなどは、正直言ってまだいい。どうせ先は知れている。若い人たち若い人たちの生があまりにも息苦しい。

日本の学生たちにインタビューしたアメリカの雑誌Foreign Affairs Magazineの何年か前の記事に、学生たちが自分たちの大学生活の印象をどう語っているか取材したものがありました。彼らは自分たちの大学生活を三つの形容詞で表現していました。それはtrapped, stuck, suffocating でした(あまりにインパクトがあったので、メモしておいたのです)。「狭いところに閉じ込められて」「身動きできなくて」「息ができない」。これが現代日本の学生たちの身体実感なんです。

サコ先生のこと - 内田樹の研究室