武満徹対談集『音楽の庭』

晴。

NML で音楽を聴く。■バッハのヴィオラ・ダ・ガンバソナタ ニ長調 BWV1028 で、ヴィオラ・ダ・ガンバはヤープ・テル・リンデン、チェンバロはヘンク・ボウマン(NMLCD)。■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第二十六番 op.81a で、ピアノはファジル・サイNMLCD)。■福島和夫(1930-)の「レクイエム」、アルト・フルートとピアノのための「エカーグラ」、「中有」から3つの小品、「冥」で、フルートはエベルハルト・ブルム、ピアノはシュテッフェン・シュライエルマッハー(NML)。うーん、これは…。すばらしいというのか、才能を感じるというか、うまくいえないけれど、これはわたしの感性にはないものだ。もっと聴いてみたい作曲家だけれど、NML にはそれほどない。(追記:そもそも、もともとの作品数が非常に少ないのだな。)まとまった作品集としてはこのアルバムが唯一のようであり、あとはバラバラに入っているのを聴くしかないな。しかし、時々こういう人にぶちあたるものだな、音楽を聴いていると。

Compositions Pour Flute

Compositions Pour Flute

  • アーティスト:Fukushima
  • 発売日: 1994/04/11
  • メディア: CD
福島和夫は「実験工房」のメンバーのひとりで、先日読んでいた立花隆氏の武満徹インタヴューにも何度も名前が出てきた筈である。まだ御存命であるようだが、早くに作曲から遠ざかってしまわれたというように覚えているけれども…。「エカーグラ」は武満の「弦楽のためのレクイエム」と共にストラヴィンスキーに絶賛された。

スーパー。帰りにこの春初めてツバメを見た。

昼からコメダ珈琲店各務原那加住吉店。たっぷりブレンドコーヒー530円。図書館から借りてきた、武満徹対談集『音楽の庭』読了。だいぶ古い本(1981年刊行)だが、どの対談もおもしろかった。最後の、数学者・広中平祐先生とのが、わたしには特におもしろかったですねえ。広中先生は音楽のことはあまり御存知ないようであるが*1、さすがにその道の超一流だけあって、武満さんと興味深い言葉のキャッチボールをなさっている。武満さんの問いかけに、数学は日本人なら日本人ということと関係があるかというのがあって、先生の応答は、それはあるような気がする、ただ、出来上がった論文からは消えてしまうけれどもという感じだったが、武満さんはおもしろく聞かれたようだった。広中先生の応答はわたしにも納得のいくもので、例えばそのあたりが意識的だった大数学者に岡潔先生があって、岡先生の「層の理論」というのは、まったく東洋の情緒の世界の(確信犯的な)数学化だったそうであるが、西洋の一流数学者にリライトされると、使い勝手のよい(らしい)抽象的な理論になってしまったというのを読んだことがある。
 それにしても本書で武満さんが対談している人たちのジャンルの幅が広くて、さすがに武満さんは様々な感性と接続しているなあという認識を新たにした。そして、武満さんの危機感はとても杞憂などでなく、いまではそれがもっと表に出てはっきりしてきたように思える。武満さんはそういう言葉では語っていないが、わたしの言葉でいうと、現代人におけるコスミックな感覚の欠如というか。現代人は論理的すぎて、かそけき声に耳を傾ける能力を失ったとかいいたいが、ちょっと主語が大きいかな。論理というものは堅固で確実であるが、粗っぽいのだ。そればかりでいくと、乱暴なことになる。

 

帰りに市民公園に寄って、散歩。











桜がまだ少ししか咲いていないので、人が少なくて存分によい天気を楽しめた。
それから、市の桜祭りはやはり中止だそうである。市民公園には宴会するなという看板が立っていた。


夜は AtCoder の過去問を解いていた。
https://marginalia.hatenablog.com/entry/2020/03/25/235624

*1:後記:これはわたしの誤り。Wikipedia によると、若いときは独学ながらピアニストを目指しておられたそうである。