大岡昇平『成城だより II』

曇。

NML で音楽を聴く。■バッハのパルティータ第二番 BWV826 で、チェンバロは辰巳美納子(NMLCD)。揺るぎないよい演奏。大きな射程。■ハイドン弦楽四重奏曲第二十三番 Hob.III:35 で、演奏はハンソン四重奏団(NMLCD)。よい曲。ハイドンの曲でフーガで終っているというのはめずらしい感じがする。■ハイドンのピアノ・ソナタ第五十番 Hob.XVI:37 で、ピアノはジョン・オコーナーNML)。

 
昼から県営プール。雨ぱらつく。


夜、大岡昇平『成城だより II』読了。おもしろいなあ。何にも読めなくてもこれは読める。学生の頃、僕は「キックがある」という表現をよく使っていて友人からわからないといわれたものだが(強い蒸留酒のことを想起して下さい)、それをちょっと思い出した。これは確かに「キックがある」。ぐいぐいと頭の中に文章が入ってくるのだ。読みながら、当たり前なのだが到底敵わないなとつくづく思った。ほんと、懐が深いですよ、大岡さんは。小林秀雄とはまたちがったタイプの横綱だと澁澤龍彦は大岡さんを評して言ったが、まことにそのとおりであると思う。何でもあるブログによると、丸谷才一氏は大岡さんをして「戦後最大の小説家」と評したそうだ、本当に丸谷氏がそう言ったのかは知らないが。まあしかし、そういうことはよいのだ。わたしには大岡さんは好きなタイプの文学者だ、それだけでよいのである。

成城だより? (中公文庫)

成城だより? (中公文庫)

しかし、文庫解説に相当する保坂和志氏のエッセイは何ゆえ収録されているのだろうね。大岡って下らないけれどまあちょっとだけ尊敬する(しかもほとんど読んだことがないのに!)とかいう内容なのだが、保坂ごときが何をいっているのだろうとわたしなどは思う。まあ、保坂氏の小説その他はわたしごときには高級すぎるようだしね。