大木毅『独ソ戦』

深夜起床。

NML で音楽を聴く。■ハイドンのピアノ・ソナタ第五十八番 Hob.XVI:48 で、ピアノはレオン・マッコウリー(NMLCD)。■ベートーヴェン弦楽四重奏曲第八番 op.59-2 で、演奏はエベーヌ四重奏団(NML)。すばらしい。西洋にはまだこれだけのベートーヴェンを演奏できる力が残っているのだな。名演という他ない。

Beethoven Around the Worl

Beethoven Around the Worl

スクリャービンのピアノ・ソナタ第三番 op.23 で、ピアノはヴィンチェンツォ・マルテンポ(NML)。
Complete Piano Sonatas

Complete Piano Sonatas

曇。
台風に備えて雨樋の掃除。

昼から県営プール。


大木毅『独ソ戦』読了。独ソ戦についての手に入りやすいエディションでコンパクトな本はこれまでなかったのではないか。本書は要を尽くした戦略・作戦細部の描写から、「世界観戦争(絶滅戦争)」概念などによる大局的な理解まで、様々な観点を有機的に結びつけた記述で、とても見事な出来といってよいと思う。独ソ戦研究の世界は何度もパラダイムが替わっているようで、過去の研究の批判なども適宜取り入れられており、おもしろいという他ない。そう、本書は戦争を記述した本であり、戦争の悲惨(特に独ソ両軍の残虐行為など)についても筆は及んでいるけれども、戦争本にしては「楽しすぎる」かも知れない。というのはもちろんわたしの感想に過ぎないわけであり、ただわたしがあるいは戦争を喜ぶクズであるせいなのかも知れないけれども。つい、「ヒトラースターリンも軍事の素人なのにバカだなあ」とか、「戦後ヒトラーに責任を押し付けたドイツ国防軍ひでー」とか、「ソ連軍の『作戦術(アピラーチヴノエ・イスクーストヴァ)』マジすごいよね」とか、血沸き肉踊ってしまうのである。ほんとわたしはクズですね。さらに、独ソの話だから、日本軍の残虐行為とか気にせず読んでいられるし。いや、本書はとてもよい本なので、読んだわたしが悪かったということになろう。なお、本書はどうも売れているらしい。さもあらん。

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

現実の戦闘、民衆の悲惨から離れれば離れるほど、戦争というものは楽しいものになっていくらしい。どうやって戦争に勝つのかという考察は、大本営の作戦地図が象徴的であるように、知的な「ゲーム」に他ならないのだ。

そういえばわたしは、子供の頃第二次世界大戦に例を採ったシミュレーション・ウォーゲームが好きだったなあ。学生のとき友人のパソコンで、戦略ウォーゲームをやるのも好きだった。もしかしたらいまでも好きかも知れないけれども、もうゲームはめんどうくさくてやらない。