河合隼雄『私が語り伝えたかったこと』

曇。

NML で音楽を聴く。■バッハのイギリス組曲第四番 BWV809 で、ピアノはファブリツィオ・シオヴェッタ(NMLCD)。■ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲第六番 op.101 で、演奏はフィッツウィリアム弦楽四重奏団NMLCD)。

そういえば昨日老父が見つけたのだが、畑でモグラとスズメが死んでいた。こんなことは滅多にないのだが、それが重なるというのは。別に農薬を使ったりしたわけではない(ウチはほぼ無農薬といってよいと思う)。モグラは握りこぶしよりは大きくて、赤い手がでっかかった。昔、祖父が捕まえて殺したり、また自分でたまたま見たこともあって、それ以来か。スズメもだが、死んでいるとかわいそうなものである。老父はそのあとすぐに埋葬してやったということだ。


昼からミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。エンゼルクリームボール+ポン・デ・シュガーボール+ブレンドコーヒー344円。『ポピュリズムとは何か』の第三章・第四章を読む。自分としてはゆっくり読んでいるが、それだけ中身があるということだ。ヨーロッパにおけるポピュリズムについて。ここでも簡単にポピュリズムを否定し去ることはむずかしい。ポピュリズム政党は確かに反移民や反イスラームといった、在来の価値観からは受け入れることがむずかしい主張もあって、(一致団結した)既成政党たちからは完全に排除されることもめずらしくないが、ベルギーの VB のように、最終的には排除されてもしかし既成政党の政策自体を大きく変えてしまったりする力があることは認めざるを得ない。これは政治的には敗北であるが、理念的にはむしろ勝利とすらいえる。また、「反イスラーム」であっても、「啓蒙主義的排外主義」(p.115)とでもいうしかない主張もあって、これはむしろ良質といわれる西洋的価値観からの連続性をもっていたりなど、なかなか複雑だ。そして、エリート批判。自分は思うが、合衆国のトランプ大統領への民衆の大きな支持も、エリートたちと貧困層がいかに分断されてしまっているか、巨大な経済的格差によっていかに貧困層の範囲が大きくなってしまっているか、そして貧困層がいかに既成秩序に絶望しているかの、ほとんどヤケクソな表れであるのだろう。実際、貧困層はどこまでトランプ大統領に期待しているのか、自分には疑問にも思われるので(これは妄想にすぎない)、彼ら彼女らはただただもうウンザリしているだけなのではないかという気もする。もちろん、トランプが救ってくれると本気で思っている人も多かろうが。

河合隼雄『私が語り伝えたかったこと』読了。今日読んだところでは、「現代人と宗教」という文章が特におもしろかった。2000年に書かれている。ここでいわれている「宗教」というのは、かなり広い意味で使われていて、「神話」というようなものも含む。この文章はこんな風に終っている。「日本の経済状態が大変なときに、あるいは、グローバリゼーションやIT革命の波が押し寄せてきているときに、何を間の抜けたことをと言われるかもしれない。それもそうだろうと思うが、むしろ、このようなときにこそ、ここに述べたような宗教性の探索が必要とも言えるのである。それを怠ると、日本という国は崩壊してゆくのではなかろうか。」(p.215)河合先生はこうも述べておられる。「…現在における宗教の必要性を認めるにしても、それをすぐに特定の宗教や宗派に結びつけることなく、あくまで個人としての宗教性を深めることを重要と考えてみてはどうであろうか。」(p.213)しかし、いまやこの文章はなかなか理解されないだろう。わたしの尊重する浅田さんも、マルクスを継承して宗教を民衆のアヘンとし、最終的に撲滅すべきであると考えておられる。少なくとも日本の知識人の常識は、浅田さんの考えと同断であるようだ。わたしは河合先生の仰っていることはよくわかるのであるが、もはや古くさい考え方にすぎまい。そして、わたしの所属するところの日本はまさに崩壊しつつある。次は、若い人たちによるまた新しい日本が誕生することであろう。いまの若い人たちは非常に合理的であるから、それは経済的合理性に貫かれた、論理を基盤とした新しい国になるにちがいない。

 

モーツァルト交響曲第三十五番 K.385 で、指揮はジョン・エリオット・ガーディナー、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(NMLCD)。いわゆる「ハフナー」。■ハイドンのピアノ・ソナタ第四十七番 Hob.XVI:32 で、ピアノはポール・ルイスNMLCD)。ポール・ルイスというピアニスト、かなりよいな。(追記。他の作曲家の曲をいろいろ聴いてみたが、どれもダメっぽい…。懲りずにそのうち挑戦してみる。)■シューベルトのピアノ・ソナタ第十四番 D784 で、ピアノはホルヘ・ボレットNML)。僕はこの曲はリヒテルの演奏が心に沁み込んでしまっているので、いろんな有名ピアニストを聴いてみたけれどなかなか聴けるのがない。その中ではボレットはさすがにおもしろいが、なんと繰り返しが(たぶん)すべて省略されているのだ! これだけは残念、というかかなり減点気分。

Piano Sonatas

Piano Sonatas

ドヴォルザークのヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 op.57、他で、ヴァイオリンは堀米ゆず子、ピアノは野平一郎(NMLCD)。これならドヴォルザークが苦手な自分にも聴ける。このコンビで Decca あたりからベートーヴェンソナタ全集を出して欲しい。しかし、アマゾンで調べてみても、堀米さんの録音、あまりにも少なくないか? 全然実力に見合っていないと思うのですけれども。すばらしいヴァイオリニストですよ? ■バルトークの「コントラスツ」で、演奏はトリオ・ムジカリス(NML)。わっは、これはすごい。さすがバルトークだ。ちなみにピアノ、クラリネット、ヴァイオリンという変った編成の曲である。
Contrasts

Contrasts

ハチャトゥリアンクラリネット三重奏曲で、演奏はトリオ・ムジカリス(NML)。ハチャトゥリアン、もっと聴かないとな。