生島美紀子『天才作曲家 大澤壽人』

休日(成人の日)。晴。よい天気だ。

相当にしんどいのだが、日常生活を淡々と送っていくのがよい。自分の部屋でひとりで悶々としていたりするのがいちばんよくない。まあ、こんなことはこれまでもあったことだ。勇気をもって乗り越えたいものである。

梅原さんがついに亡くなられたか。京都学派の最後の人だったな。いろいろいわれたが、深くて独創的な人だった。貴重な人がどんどん失われていく。

あんまり調子がよくないときは語学をやるとよいというが、自分の場合はプログラミングだ。とても気がラクになる。今日はひさしぶりに AOJ をやっていた。
AOJ(問題集)11 - Marginalia
AOJ(問題集)12 - Marginalia
 
図書館から借りてきた、生島美紀子『天才作曲家 大澤壽人』読了。欧米での大澤の活躍の部分については一昨日に書いたので繰り返さない。帰朝後については、痛々しくてとてもこれまでと同じようには読めなかった。著者はそう書いていないし、大澤自身もそうは言っていないが、当時の日本人には大澤の音楽がまったくわからなかったのである。残念なことであるが、自分がその時代にあっても、大澤にマヌケたお説教をした「音楽評論家」とたぶん同じことをしたかも知れない。どうも、誰ひとりとして理解者がいなかったようなのだ。そして太平洋戦争中の戦争協力。本書では倫理的な問題がまったく問われていないが、まあそんなことはどうでもいいだろう。戦後も、大澤は大澤なりに日本人の音楽意識の向上のため力を尽くし、その方面でも膨大な仕事を残したが、それはおそらく彼の本当にしたいことではなかったようである。そのため大澤は再び渡米することを予定していたが、それを早すぎる死が奪った。享年四十七。もし帰国せずにそのまま欧米にいれば、我々は日本人の世界的大作曲家をもうひとり持った可能性が高かったようだ。いや、これまでの作品でも充分世界史的な作曲家ではないかと仰る人もいるかも知れないが、さて、もちろんそんなことはわたしには判断できないに決まっている。
 それでも、大澤が完全な忘却からは救われたのは本当によかった。なお、その復活劇は片山杜秀さんが担ったわけだが、そういうだけでは正確でないことを本書から知った。また、大澤の曲が初めて収められた CD は正確には Naxos の「日本作曲家選輯」のそれではないようである。そのあたりの細部は本書に就かれたい。なお、本書の半分は大澤帰朝後の記述であり、著者はその部分も心を込めてお書かきになっているので、流し読みをして申し訳ないと思っています。すみません。(AM02:48)

天才作曲家 大澤壽人

天才作曲家 大澤壽人