富山家族旅行(第一日)

曇。
昧爽起床。なさけない夢を見る。無意識を一喝してやりたい気分。

NML で音楽を聴く。■バッハのトリオ・ソナタ第五番 BWV529 で、オルガンは椎名雄一郎(NMLCD)。■モーツァルトのセレナード第六番ニ長調 K.239 で、指揮はトン・コープマンアムステルダム・バロック管弦楽団NMLCD)。いわゆる「セレナータ・ノットゥルナ」。

老母の体調が回復してきて、もう泊まりでも大丈夫だろうということで、これまで検討してきた富山県へようやく行くことにした。主においしいものを食べにというつもりである。しかし、あまり天候がよさそうではないのはいつものこと。
 朝八時頃出発、いつもと同じく岐阜各務原IC から東海北陸自動車道に入るが、今回は北へ。道路は岐阜の山の中を走り、ところどころで日が差してきて、車窓から見える紅葉がすばらしい。広葉樹を植林する筈がないので、すべて自然林なのだろうが、いまいちばんよい季節なのではないか。平日なので、それほど車が多いわけでもない。さすがに運転手の僕は横をきょろきょろ見るわけにはいかないが、両親は嘆声をあげていた。

一時間半ほどでひるがの高原SA で休憩。ここからの大日ヶ岳の眺望がすばらしい。まわりも高原という感じ。
 さらに北上すると、岐阜県富山県の県境あたりは長いトンネルが頻出し、片側一車線対面通行で神経を使う。全長9km、11km といったトンネルもあって大変。日本海側に近づくほど空が暗くなってくる。



富山県に入り五箇山IC で下りて、五箇山合掌の里へ。合掌集落はそれこそ岐阜県白川郷が有名であるが、既に完全に観光地化して観光客も多いので、こちらを選んでみたわけである。思ったとおり、まだ十時頃のせいもあるだろうが観光客はまばらで、秘境という雰囲気でとてもよい感じだった。まあ、我々みたいなのが俗化させるのかも知れないが、住民の方々はまだふつうに住んでおられて、逆に観光地化もあまりされていなくて大変だろうと思う。日本の山奥を見たい方にはよいかも知れない。我々も大変に満足して、おじゃまして申し訳ありませんという感じ。観光地化しないでというのも、我々の勝手な言い分であろうかとも思う。ちなみに、我々の出発時には観光バスも何台かきていた。
 さらに北上して砺波平野に出る。ここで、天候を考え、富山市の方へ行くか、それとも二日目に予定していた高岡方面に行くか迷い、高岡方面に先に行くことに決める。城端SA に寄ってカーナビを設定し直し、小矢部砺波JCT から能越自動車道へ、高岡IC で高速を下りる。まずは昼食と、高岡の「すし食いねぇ! 高岡南店」へ。いちおう回転寿しということだったが、レヴェルの高いお店で、我々には充分すぎる味だった。お値段も安いといってよいだろう。大変な混雑も当然というところだった。


高岡の瑞龍寺へ。ここは二十年くらい前に来たことがあって、来てみると思い出すところもあった。そのときはまだ国宝に指定されていなかったが、いまは仏殿、法堂、山門が国宝になっている。前田利長(利家の長男)の創建に係り、いまでは利長の菩提寺にもなっている曹洞宗の寺院である。大きな伽藍にもかかわらず禅寺らしい清潔簡素な印象を受ける好ましい寺で、空が時雨れていたのも却って風情を感じるくらいだった。中を見物していたところ我々は声の大きい禅坊主に声をかけられて少し話したのだが、明らかに修行をしている禅僧で、なるほどなと思った。まあまだ禅坊主くさすぎる感じもしたのだが、わたしのようなカスのいうべきことではないし、やはりきちんと修行している僧はありがたい感じがして、悪口を言う気になれない。熱心に話される寺の歴史などを伺った。禅僧二人で切り回しているそうで、国宝をもっては大変であろうなと察せられた。よいところでした。

どうということはないのだが、近いので時雨れるなか高岡大仏へ。いまの大仏は昭和初期に作られたもので、高岡が銅の町なので、職人たちによる銅製である。





高岡から日本海を見に雨晴(あまはらし)海岸へ。いやにおしゃれな道の駅があって、そこから写真を撮ったり、暗い日本海を見ながらコーヒーを飲んだりする。これはこれで悪くない。「義経岩」その他あり、そういうのを見物するのもよいだろう。海岸へ出て海を見る。我々海なし県の住人は、いつも海にあこがれる。

雨晴海岸へ行く途中の伏木はかつて越中国府があったところであり、越中一之宮であるという氣多神社もここにある。近くなので訪れてみたが、人気はないけれど神寂びたよい神社だった。一之宮ということからわかるとおり歴史の古い神社であり、祭神が大己貴命奴奈加波比売命というのが意味深だ。確かにここは「高志」(越)の国である。本殿は重文。ただ、扁額が空海真筆というのはとても信じられないが。さほど大きくないけれども、好ましい神社であるというべきだろう。多少調べてみても、社伝をそのまま信ずることはできないようである。

よい時間になったので、一時間弱かけて富山市内へ。四時頃ホテル着。今夜は ANAクラウンプラザホテル富山に素泊まりする。新しくてきれいなホテルで、地上19階の大きなそれだが、素泊まりだと全然高くはないので、我々でも大丈夫です。お城のすぐ南で、今夜食事をする店にも近いのでここにした。ただし、駐車場が非常にわかりにくいので、車を使う方はあらかじめ確認しておいた方がよいと思う。
 六時に丸の内の「美乃鮨」へ夕食に。この旅行はもともとネットで老母が「富山湾鮨」のサイトを見つけたことがきっかけでした。詳細が気になる方はリンク先を見て下さい。一点を除いてはとてもよかったと申し上げておきましょう。特に鮮度の関係で地元富山でしか食べられないという「白エビ」はとてもよろしゅうございました。今回はこれが目当てだったので満足です。富山のお酒もおいしかったです。残念だった一点もあえて書いておくと、鮨のシャリがまだ温かかった。これは人によっては致命的と思われる方もいるでしょうし、逆の方もおられるでしょう*1。まあ、我々はそんなにうるさいことはいいません。「白エビ」だけでも、わざわざ来た甲斐があったと思っています。おいしかったです。ごちそうさまでした。

食事を終えてコンビニに寄り、飲み物やハーゲンダッツを買ってホテルへ戻る。テレビで日米野球を見たりしつつ、早く就寝。おやすみなさい。

*1:これについていろいろいう人があるのは知っています。我々は田舎者なのでその舌で判断致します。