こともなし

雨。

NML で音楽を聴く。■バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第一番 BWV1002 で、ヴァイオリンはゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(NMLCD)。切なくなってくるくらいピュアで美しいバッハだ。確かにモダン楽器と比べれば力強さの点では劣るし、モダン楽器かどちらかを選べといわれればモダン楽器を選ぶのかも知れないが、それでもこのピリオド楽器による演奏はすばらしい。新しい世代による、新鮮で感動的なバッハになっている。そもそも古楽ヴァイオリンはモダン楽器と比べて和音の扱いは優れていて、それが無伴奏ヴァイオリンというこの曲の特性上有利になっている面もあるのだ。■シューベルトの「さすらい人」幻想曲 D760 で、ピアノはセルゲイ・エデルマン(NML)。エデルマンというピアニストは日本のマイナーレーベルである Triton から最初の CD が出たときから注目しているが、さて、いまや世界の一流ピアニストとして正当に認識されているのであるか、わたしは知らない。既にさほど若いピアニストではなく、日本の音大でピアノ教師をしているという以外の経歴は知らないのだが、いったい誰が見つけてきたものであろうか。この曲はわたしの偏愛する曲であり、既にポリーニリヒテルの録音で聴きすぎて他では滅多に満足できなくなってしまっていて、いまもいろいろ有名ピアニストの録音を試聴してみたが、どれも満足できず、結局これに落ち着いた。まあそれなりの耳があれば、この演奏のすばらしさは誰にでもわかるだろう。技術的にも内容的にもきわめてむずかしい名曲である。それにしても、すぐれた人というのは意外なところにいるものだ。わからぬものである。

リスト:ピアノ・ソナタロ短調、シューベルト:幻想曲「さすらい人幻想曲」

リスト:ピアノ・ソナタロ短調、シューベルト:幻想曲「さすらい人幻想曲」

 
うーん、今日のNML の新着は Decca に Deutsche Grammophon の大盤振る舞いだ。最近でこそダメになったが、さすがにメジャーレーベルで過去の蓄積はすごいので、ルプーに小澤征爾ときて、それにフィッシャー=ディースカウのヴォルフ歌曲集がストリーミングで聴けてしまうというのは、ちょっと反則であろう。まあしかし、いまやかつてとはちがった意味で、Deutsche Grammophon より NAXOS の方がメジャーレーベルだともいえるので、事実 NML がこうなっているというのは時代に敏感であった者の勝ちというものであろうか。それにしても、CD は終ったといわれつつ、新譜の出てくる量はもはや個人でどうにかできるレヴェルを遥かに超えているのである。

マジメなことばかりしていると頭がおかしくなるので、下らぬことも大いにするのであるが、もうおっさんも後期になるとエロい画像とか見ていてもさほどおもしろくないので(当社比)、もっぱらベッドに寝転がり、iPadRuby 関連の語句を検索してだらだら見ているのがいちばんだらけているときである。いや、そこまでお勉強するのですかと思われるかも知れないが、全然ちがうので、ファンがアイドルの追っかけをするのとまったく変わらないのである。僕はアホなので、まつもとさんの発言を読んでいて感動して思わず泣きそうになったりする(実際は泣きません笑)。ここまでくるとちょっとおかしい人であるが、まあそんなだ。それもこれも、日本人でも Ruby の悪口とか、悪口とまではいかなくてもルサンチマンの混じった発言が多いからであるが、まつもとさんはあくまで温厚で誠実である。まあしかし、ソフトウェア技術についての話は厄介なので、ある言語のここがよくないという単に技術的な話が、その言語を dis ったと思われかねないので、まつもとさんは Ruby がそういう指摘を受けた場合、素直に耳をかたむけようという態度であり、コミッターの人たちも大概そうなっていると思う。

僕が Ruby でいちばん好きなのは、これまでも何度も書いてきたけれど、そのコードの見た目がよいという、まあどうでもよさそうな理由である。それにこれは感覚的すぎて、一般化するのは無理だ。でも、僕はコードの見た目というのはかなりあると思っていて、Ruby 以外の言語でも、優秀なプログラマのコードはたいていとてもすっきりしていて、わかりやすく、見た目がきれいなのを感じる。C でも Go でもそうだ。まるで初心者の書いたようなシンプルなコードが、最適解だということは往々にしてあると思う。でも実際には、初心者はシンプルなコードがなかなか書けない。で、何をやっているのかわからないコードが生まれてしまう。僕もプログラミング用のブログに載せてある昔のコード、書き始めの頃のコードがわかりにくくて我慢できず、書き直したことが何度もある。理想的には、コメント(コードに書く説明)がなくてもわかるようなコードがよい。それはなかなかむずかしいことなのだ。