ボリス・ヴィアン『お前らの墓につばを吐いてやる』

日曜日。曇。

NML で音楽を聴く。■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第四番 op.7 で、ピアノはヴィルヘルム・ケンプNML)。モノラル録音のベートーヴェン全集(1951-1956)のようで、ケンプは60年代にも全集を録音しているとのこと。

Beethoven: DIE KLAVIERSONATEN-THE PIANO SONATAS

Beethoven: DIE KLAVIERSONATEN-THE PIANO SONATAS

NML で音楽を聴く。■ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第九番 op.14-1 で、ピアノは園田高弘NMLCD)。■シューベルトのピアノ・ソナタ第九番 D575 で、ピアノはワルター・クリーン(NMLCD)。■スカルラッティソナタ K.27, K.466, K.1, K.141, K.32、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第二番 op.14、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第二番 op.102 他で、ピアノはドミートリー・マスレーエフ(あるいはドミトリー・マスレエフ、NML)。これはおもしろいピアニストだ。抒情的表現に独特なものがあって聴かせる。プロコフィエフショスタコーヴィチもマイナーな曲を演奏しているが、これほどおもしろく聴けたのは両者とも初めて。多少軽量級のピアニストという感じも受けるが、パワフルな場面でも充分足りているし、つくづく感心した。また、スカルラッティはとてもよいもので、オール・スカルラッティのアルバムを聴いてみたい気がする。これだけではドイツものとかはわからないが、もっと聴いてみたいピアニストだ。

Various: Dmitry Masleev

Various: Dmitry Masleev

 
父が畑から採ってきて「これわかるか」とのことだが、何かわかりますか? トマトのようにも見えますよね…。

じつはこれ、ジャガイモの実なのである。ジャガイモの我々がふつう食べるところは、あれは一種の「茎」なのであって、これが実なのだ。トマトに似ているのは偶然ではなく、ジャガイモもトマトも同じナス科の植物で、うまく接ぎ木すると上はトマト、下はジャガイモというのを作ることもできる。これは子供の頃得た知識なのであるが、この齢にして初めて実見したな。

ボリス・ヴィアン『お前らの墓につばを吐いてやる』読了。鈴木創士訳。いやあ、ノワールだか何だか知らないが、すばらしくおもしろカッコいい小説だな。わたくしのようにマジメ一本な(笑)人生を歩んできた奴が推奨するとか、お笑い草だが。ただ、ゴロツキが上流階級の淑女姉妹をコマして、姉をセックスでメロメロにしてしまうその過程のスピーディさ、スリルはすばらしいけれども、最後がいかにも陳腐ではないかね? いや、それは日本人だからそう思われるのかも知れないが、こんな活きのいいヤツに人種差別に対する復讐をさせるとか、まったく人種問題とは面倒な話である。それだからこそ本書はスキャンダルになったわけであるが、そのあたりは人種差別が隠蔽され存在しないように見せかけられている日本とは、だいぶ事情がちがうわけだ。我々には、主人公の切実さがわからない。例えば、在日文学(よく知らないのがいけないが)のあり方とはだいぶちがう気がする。在日文学は本書よりもっと内向的で、腹の底に押し込められた暗さがあるように思われる。よくも悪くも本書の(おそらく装われた)チープさは、エンタメっぽい。ま、しかし、『うたかたの日々』も読んでみたいですね。

お前らの墓につばを吐いてやる (河出文庫)

お前らの墓につばを吐いてやる (河出文庫)