多和田葉子『傘の死体とわたしの妻』 / 川上未映子『愛の夢とか』

振替休日。曇。
早寝早起き。早起きすると午前中が長い。

AIZU ONLINE JUDGE」の副産物(?)で素数判定を高速におこなうメソッドを書いたので、記事にする。


図書館から借りてきた、多和田葉子『傘の死体とわたしの妻』読了。詩集。なかなかおもしろかった。エロ、だじゃれ、多義性、実験的、連想ゲーム。破壊された日本語からエロが立ち昇ってくるのがおもしろい。まあ、だから何?って気もするのだが、このコロンブスの卵的な手法は独創的だろう。著者は言葉をもてあそぶのが好きなのだな。変な詩を読んでみたい方にはオススメである。

傘の死体とわたしの妻

傘の死体とわたしの妻

 
川上未映子愛の夢とか』読了。短篇集。すごいものを読んでしまったという感じ。多少平凡なのは冒頭の「アイスクリーム熱」くらいのもので、あとはほとんど異常な印象を与えられる。まさに(平凡な言葉だが)才能があるとしか言い様がない。実際、著者は(よくない言い方だが)ちょっと「頭がおかしい」「ビョーキである」と思う。何というか、ホラー的な恐怖感を感じる短篇ばかりですね。ひとつ挙げるなら「お花畑自身」であろう。これは凄い。自分が丹精込めて作り上げた家を奪われた女性の話で、偏執的なおそろしさを感じる。それから、表題作の「愛の夢とか」も、似たようなホラー感だ。確かに異常な世界で、著者はこの「ビョーキ」を治してしまったら、小説を書くことはできなくなるかも知れない。それこそが「才能」「非凡」なのだ。(言っておくが、自分は「ビョーキ」に才能を見ているわけではない。どのみち、「ビョーキ」でない人間などいない。ただ、川上未映子の「ビョーキ」には独創性があるのだ。)
愛の夢とか (講談社文庫)

愛の夢とか (講談社文庫)

アマゾンのレヴューでは酷評されている。へー、皆さんおもしろくなかったの。それはお気の毒に。

早寝。