ゲンデュン・リンチェン編『ブータンの瘋狂聖 ドゥクパ・クンレー伝』

日曜日。晴。
 
いまの日本に生きていて驚かされることのひとつに「沖縄ヘイト」のすさまじさがある。ツイッターなどを見ていると、まともそうに見えていた知識人(?)たちすら、「沖縄ヘイト」に参加しつつあることが見られ、いったいどうなってしまったかと思わざるを得ない。また、それに対抗する態度を見せている者は、沖縄人以外にはさほど多くないのが現状だと見える。自分は恥ずかしながら傍観者的パヨクであるが、日本の壊れっぷりが日々ひどくなっているのを目の当たりにしていて、おそろしさと絶望を感じている。

ふとん内子宮にくるまっている。退行して戻ってきたくない感じ。
昼過ぎ、県図書館。外は曇っていた。

ゲンデュン・リンチェン編『ブータンの瘋狂聖 ドゥクパ・クンレー伝』読了。やー、呆れたエロい活仏だな。美人が好きですぐセックスしちゃうし、処女を抱くときはペニスにバターを塗るし、酒は飲むし、婆さんを弓で射って殺すし、魔物は燃え盛るちんこ(笑)を振り回しては撃退するし、まったく瘋狂である。ドゥクパ・クンレーは 15~16世紀の実在のチベット僧で、実際に型破りな僧「ニョンパ」であったらしい。ブータンを教化し、ブータンで愛されて数々の伝説が伝えられてきたが、本書はブータンの「法王」にあたるらしいゲンデュン・リンチェンが、それらの伝説を編んだものとされる。本書の成立は1966年とまだ極最近で、そのことにもまた驚かされる。ブータンの民衆はこのような説話を愛し、20世紀まで伝えてきたのだと考えると、感動的なものすらある。いや、マジメな僕ちんなどにはなかなか飲み込めないところもあるが、それにしてもブータンの人たちはえらいね。いや、日本人も昔は結構えらかったのだが、最近はコンビニからエロ本を撤去して、かわりに(?)沖縄ヘイトにいそしむなどというまったく立派すぎる国民になって、うんざりする。僕みたいなバカにはニョンパの方がよろしい感じ。って何もわかっていないので地獄堕ちみたいなもんですが。

ブータンの瘋狂聖 ドゥクパ・クンレー伝 (岩波文庫)

ブータンの瘋狂聖 ドゥクパ・クンレー伝 (岩波文庫)

しかし岩波文庫、なかなかやるやん。

 

シューベルトの「さすらい人」幻想曲 D760 で、ピアノはスヴャトスラフ・リヒテル。音源はよく知られている 1963年のスタジオ録音で、これまで CD でも繰り返し聴いてきたものである。今回思ったが、ペダルを踏む音が結構大きく入っていて、ちょっと耳障りなくらいだった。リヒテルはインタビューでいちばん好きな曲としてこの曲を挙げていたが、まさしくそれにふさわしい演奏。ポリーニの録音と合わせて、この曲の決定的なそれだと思う。リヒテルは基本的に近代の総決算というピアニストだと思うが、ゆえに次第に聴かれなくなっていくのかも知れない。自分は、史上最高のピアニストだと思うが。


シューマンの「交響的練習曲」op.13 で、ピアノはマリア・グリンベルク。いやあ、ビシッと決まったカッコいい演奏だ。しかしロシアの大家で、しんどかった…。ロシアの大ピアニストたちからパクりたい感じがする。中心の位置がいい。