徐京植『私の西洋音楽巡礼』

晴。
驚くことにファッション系(!)の夢を見た。普段はほとんどユニクロで済ませている人だから滑稽である。まったく自分の心に何が入っているか、自分でもわかったものではない。
いつも読んでいるブログに「近ごろ、本を読むのが面白くて仕方がない」とあった。自分は近ごろまったく読めていないので、目が真ん丸に。す・ご・い。いいなあ。これから彼女が報告してくれる本が楽しみだ。
にゃお。

図書館から借りてきた、徐京植『私の西洋音楽巡礼』読了。大変に感銘を受けたが、どうもうまく書けそうにない。著者は本書は音楽批評などではなく、音楽を通じて自分自身を語ったものだと書くが、確かにそれはそうである。フィクションではないが、事実によって書かれた文学だと言えるだろう。そこには著者が在日朝鮮人であるということや、著者の決して一本調子ではなかった人生、音楽に対する葛藤、そして著者のパートナー(妻であるようだが、著者はそれをほとんどいわない)である、本書では「F」と表記される、音楽に対して深い鑑賞力をもちつつ、あまりにも繊細な感覚をもっている女性との関係が、力強い筆で描かれている。著者が何度も繰り返すのは、音楽は大変に危険なものであるということだ。たまたまある音楽を聴いたがために、人生を大きく変えさせられたり、さらにはそれが破壊されてしまうということが起きかねない。音楽はそういうものである。著者の音楽を聴く力はそこまで到達しているのであり、それは著者が己の音楽理解の能力に何度も疑問をいだくにもかかわらず、そうなのである。これは著者にとっては「F」の存在も大きいだろうが、とにかく自分などの到底及ばないところだ。本書は自分はまず文学として読んだが、音楽本としても堪能した。ただし、自分のまったく知らないオペラというジャンルが本書の中核であるから、わからないところも多数あったと白状しておこう。文学と音楽が好きな方にはお勧めしたい。

私の西洋音楽巡礼

私の西洋音楽巡礼

夜半、驚くほど強い雨