ヴォルテール『哲学書簡』

晴。

モーツァルトのセレナーデ変ロ長調 K.361 で、指揮はチャールズ・マッケラス。絶品。ハモり方がものすごく気持ちいい。蕩けそう。曲はいわゆる「グラン・パルティータ」と呼ばれるものですね。木管楽器のみのアンサンブルで演奏される。

昼から寝てた。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第十四番 op.27-2 で、ピアノはヴァレンティーナ・リシッツァ。こんなポピュラー曲を聴きやがってと言われそうだが、僕はいわゆる「三大ソナタ」はきらいでない。グールドもこの曲は好きだったのだよ。リシッツァの演奏は取り立てて特徴のあるものではなく、まあ凡庸ではあるのだが、この曲を聴く上で不満があるわけではない。まずまずいい演奏だと思う。

マルティヌーのヴァイオリン・ソナタ第三番で、ヴァイオリンはヨゼフ・スーク、ピアノはヨゼフ・ハーラ。これはすばらしい演奏。マルティヌーのこの曲はモダンで聴き応えがあり、自分の好きなタイプのそれだ。これほどの曲でも知らなかったりするものだな。演奏はヴァイオリンもピアノもいかにも実力者たちという感じで、気持ちがよい。

ヴォルテール哲学書簡』読了。斉藤悦則訳。本書は新訳であるが、岩波文庫林達夫による翻訳が既にある。林達夫はもちろん著名な知識人であり、典雅かつ明晰な文章で知られ、彼を尊敬する知識人は一時期は多かった。自分も四冊の中公文庫で林達夫イカれた口であり、ちゃんと著作集ももっていて愛読したものである。林達夫ヴォルテールとはぴったりな感じで、『哲学書簡』は洒落た翻訳であった。しかし今回新訳を読んでみて驚いたのだが、自分は林達夫の訳で何を読んでいたのだろうということである。『哲学書簡』にはこんなことが書かれてあったのか。僕は岩波文庫版は複数回読んでいる筈であるが、どうやら林達夫の文章は自分の能力を超えていたようだ。この新訳は非常によくわかった。読んでよかったと思う。

哲学書簡 (光文社古典新訳文庫)

哲学書簡 (光文社古典新訳文庫)