ゲーリー・スナイダー『新版 野生の実践』/吉田秀和『永遠の故郷 薄明』/I・M・ゲルファント『関数とグラフ』

曇。
音楽を聴く。■ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌサンソン・フランソワ参照)。■ブラームス弦楽四重奏曲第一番 op.51-1 (ベルチャQ)。ほら、やっぱりベルチャQはすばらしかった。予想どおり、古典的なブラームスを聴かせてくれる。残りを聴くのが楽しみだ。ショスタコーヴィチなんかも合うと思うのだけれど、録音はないみたい。

Brahms: Complete String Quarte

Brahms: Complete String Quarte


図書館から借りてきた、ゲーリー・スナイダー『新版 野生の実践』読了。これはいい本だ。皆んな読むといい。それにしても表紙のスナイダーの写真、何と立派な風貌だろう。これからしてもスナイダーの境地が察せられる。自分にとっては本書は鑢のようなものだった。これを使ってもっともっと自分を鍛えなければならない。これに比べれば、自分などは煩悩に塗れまくった、ぺーぺーの駆出しである。つまらない者は、人とちがうことをせねばならない。それくらいしか、自分の命を使えるところはない。図書館から借りてきた、吉田秀和『永遠の故郷 薄明』読了。何故かこの巻だけ市の図書館になかったので、県図書館から借りてきた。この巻はプーランクの歌曲が中心で、正直言ってむずかしすぎて自分にはついていけない。どこまで行っても吉田秀和さんはいつも自分の遥か先を歩いておられたし、追いつくことも不可能である。
 その中では、マーラーの「リュッケルト歌曲集」からの、「僕はかすかな香りを吸った」(吉田さんは、「ぼくは呼吸した、あえかな香りを」と訳しておられる)の詳細な分析に瞠目した。これはすばらしい歌曲で、かつて吉田さん自身が書いておられたとおり、花の微妙な香りを音楽にして魔術のような効果を挙げている名曲である。学生の頃初めて聴いて、二度と忘れられない曲になった。それにしても、(当り前だが)恐るべき分析力というか、鑑賞力である。西洋文化理解のひとつの極致であろう。現代でこれに匹敵できるのは浅田彰さんくらいかも知れないが、あの人は本当にものを書かない。その浅田彰さんも、この「永遠の故郷」のシリーズは注目しておられた筈である。それももうだいぶ前のことになったが。
永遠の故郷――薄明 (永遠の故郷)

永遠の故郷――薄明 (永遠の故郷)

I・M・ゲルファント『関数とグラフ』読了。高一レヴェルの易しい独習書。
ゲルファント やさしい数学入門 関数とグラフ (ちくま学芸文庫)

ゲルファント やさしい数学入門 関数とグラフ (ちくま学芸文庫)