ゲーリー・スナイダー『リップラップと寒山詩』

日曜日。晴。昨晩随分積もった。
11時間くらい眠る。そんなに気持ちよく寝ているわけでもなくて、結構しんどい。あんまり寝ない方がいいのかな。いまの時代は複雑すぎて、精神への負担が大きい。変なことになっていると思う。



ベートーヴェン弦楽四重奏曲第一番 op.18-1。演奏はベルチャ弦楽四重奏団。ベルチャQ、本当にすばらしいな。

メンデルスゾーンのピアノ・トリオ第一番 op.49。演奏はアンネ=ゾフィー・ムターアンドレ・プレヴィン、リン・ハレルというビッグ・ネームたち。どうも演奏がしんどすぎるのですが。もっとチャーミングな曲だと思うのだけれど、ひたすら疲れる。終楽章など、何かズレている感じがするし。まあ名手たちなので、こちらがおかしいのかも知れない。とにかく楽しめなかった。

ボロディン弦楽四重奏曲第二番。演奏はボロディンSQ で、1962/8/29 のライブ録音。いや、ボロディンがわかってきたぞ。すばらしいではないか。懐かしいようなメロディで泣かせると思っていたら、終楽章のモダン! しかし、ロシアの作曲家というのはどうしてこうすごいのがこんなに多いのだ。呆れるくらいだな。演奏もこれは何ともすごい、どこのカルテットだろうと思っていたら、よく見たらボロディンSQ でした。そりゃすごい筈だ。

mathnb さんの問題を見ていて、上野健爾先生の『代数幾何入門』の第二章を参照したらとてもわかりやすかったので、ちょっとメモを作る。

代数幾何入門

代数幾何入門

その過程で気づいたのだが、(無限に広い)平面のもつ点の数と、半径1 の球のもつ点の数は、同じだと思いますか、それともどちらかの方が多いと思いますか。答えは、有限の球の方が、無限に広い平面より多くの点をもっているのですね。逆じゃないですよ。僕はこれは知識としては知っていて、「1点コンパクト化」という用語も知っていたのだが、しっかりとはわかっていなかったのだな。僕は何となく、同じだと思っていたのですね。しっかりわかって愉快である。
話はちょっとちがうけれど、大学レヴェルの数学を知らない人には不思議に思えるであろうことに、区間 0≦x≦1 はもちろん有限区間であるが、この中に点は無限個あるのですね。ちなみにこの区間有理数点も実数点も無限個あるが、有理数点の個数は実数点の個数に比べて遥かに少ないのです。有理数点は無限個あるけれど、スカスカなのですね。わかるかなー。さらに言っておくと、有理数点には1番目、2番目というように番号をつけることができるけれど、実数点には番号がつけられないのですね。さあ、どうでしょう。そんなバカなことがあるか、点というからには番号をつけられない筈がないと思われるでしょうか。でもまあ、数学だとそうなっちゃうのですねー。
とにかく、無限ってのが出てくると、色いろと不思議なことが起こるのです。

図書館から借りてきた、ゲーリー・スナイダー『リップラップと寒山詩』読了。原成吉訳。この本買おうかな。マジで読んだ方がいいよ。スナイダーの名前はケルアックの『ザ・ダルマ・バムズ』(これもとてもおもしろい本)で知っていたが、その詩(に限らず)はこれまで読んだことがなかった。世界が生まれたての頃のようなシンプルで骨太な詩である。ここに無理に禅を読み込む必要はないと思うが、人間の本来性を引き出す禅の世界から、遠いとも云えない。これほどの詩人を知らなかったとは、相変わらずの無知である。それにしても、こういう本をちゃんと出す出版社もあるのだな。