細野晴臣『HOSONO百景』

晴。
昨晩はものすごく眠くて早寝。で、明け方にイヤな夢で目覚める。いわゆる悪夢ではないのだけれど、ひたすら愉快でない夢だった。自分の奥底に何があるのだろうな。
そこからまたウトウトして、最終的に12時間くらい寝たのではないか。もうふとんの中にいるのがデフォルト状態になっていて、起きたくない。意識的に起きる。PC をつけてネットを見ると、昨日早く寝たせいで皆さんのブログがいっぱい更新されていて、未読状態。これは何だか贅沢な(?)気分である。

ロザリン・テューレックの弾く、バッハの平均律クラヴィーア曲集第一巻を聴く。第一番(BWV846)〜第十四番(BWV859)。テューレックの射程は自分を遥かに超えているので、大変でした。リヒテルともグールドともちがうバッハ。それにしてもテューレックの巨大さ、バッハの巨大さ。テューレックには恣意感というものがほとんどない感じである。バッハの音楽がただ勝手に鳴っているというか。

J.S.BACH: the Well

J.S.BACH: the Well

なお、これは1950年代のモノラル録音であり、マスターテープのヒスノイズをデジタル処理して除去してはいない。音質は決してよくないので注意されたい。もちろん、演奏の偉大さにはまったく関わりがないことだし、自分にはヒスノイズはさほど気になるものではなかった。

 

メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」(1941)。名曲名演であろう。すばらしい演奏なわけだが、それにしてもこの動画の視聴数が100万回を超えているとは、皆んな聴くべきものは聴いているのね。脱帽です。この曲は第二次世界大戦のとき、ドイツの収容所に捕虜として収容されていたメシアンが、「ヨハネの黙示録」にインスパイアされて作曲したものであることはよく知られている。収容所という偶然の事情により、ピアノ、クラリネット、ヴァイオリン、チェロという独特の編成になっている。初演もその収容所で行われた。この曲がポジティブなものなのかどうか、自分は詳らかにしないが、自分には例えばすべての生命体が死に絶えたあとの地球で流れている音楽があるとすれば、このようなものかとも思われる。もちろん、過剰に意味づけする必要はないだろうが。メシアンはいわゆる「現代音楽」の作曲家の中では、自分のもっとも好きな音楽家のひとりである。メシアンにはブーレーズクセナキスを始めとして、有名な弟子たちが綺羅星のごとくいるのだが、その優秀な弟子たちですら、メシアンを超えたものは遂にあらわれなかったのではないか。それほどの高みにあるように思われる。


 

メンデルスゾーンのピアノ・トリオ第一番 op.49 で、ヴァイオリンはダヴィッド・オイストラフ、チェロはスヴャトスラフ・クヌシェヴィツキー、ピアノはレフ・オボーリン。名手たちが何の奇も衒うことなく、当り前に演奏している。録音の関係か、オイストラフのヴァイオリンがところどころ音がきつく、耳障りなのがちょっと残念だが。それにしても、こういうささやかでセンチメンタルな曲が聴きたくなってしまうのですね、自分は。You Tube でも色いろな演奏で、どれだけ聴いたかわからない。平凡人である。

午後、カルコス。気になっていた新刊の Ruby 本があったのだが、思っていたより Ruby 初心者向けだったので買わなかった。文庫新刊などは最近読まれている作家とかもうホントにわからなくて、買うものがない。もうアンテナが古びていて更新されていないのだな。テキトーに読んでみるなら、図書館を使えばいいやってなってるし。段々と老害化しているのをこのところよく感じてしまう。新書も以前はよく買って読んでいたのだが、このところのはもうだいたい中身がわかっている感じで、これも触手がのびない。哲学・思想書の単行本など、もうどれくらい買っていないだろうか。

カルコス駐車場で戦闘機の爆音がうるさい。

ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップへ寄る。ポン・デ・リース チョコ+ブレンドコーヒー。イオンに来ているのだから別にミスドに入らなくてもいいのだが、何となくスタバとかに入れない。フードコートはノイズに満ちているし、かかっている音楽は下らないが、それはそれできらいな雰囲気ではない。買ってきたばかりの細野さんの文庫を読む。この人、あいかわらずオカルト親和性なのがおもしろい。まあそれほど信じておられるわけでもなさそうだが、不思議なことが起きるのが細野さんだなあと思う。そうそう、フードコートの店舗でもコーヒーおかわりしてよいのですね。まあ、ふつうの店舗とちがって注ぎにきてくれるわけではないのだが。


細野晴臣『HOSONO百景』読了。ゆたさんのブログで教えて頂いた本である。編集者によるインタヴューを再構成したもの。何だかゆるくテキトーかつ真摯に答えておられるのがおもしろい。音楽の話ばかりではないし、そもそもポピュラー音楽を知らない自分は、細野さんの音楽の話がまったくわからない。でも、中沢さんとの『観光』の頃から、細野さんの話は好きだ。細野さんの音楽? 好きに決まっている。でもじつは同時代的に聴いたものはあまりなくて、細野さんの音楽は事後的に聴いてきたものが多い。唯一同時代的だったのは松田聖子の音楽だったかも。いうまでもなく、初期の松田聖子の音楽*1に細野さんは携わっていて、松田聖子好きだった自分は知らぬ間に最先端にいたのだ(笑)。これは中学生のときかな(定かでない)。学生のときはかなり真剣に細野さんを聴いた。最近では『HoSoNoVa』とかが好きですね。細野さんは無意識がすごいと思う。才能のあるひとというのは、こういう人をいう。細野さんは、日本のポピュラー音楽のレヴェルを一段も二段も挙げてきたひとだ。文庫あとがきによれば、最近はジャズがおもしろいそう。僕も、仮にクラシック音楽に飽きたら、まだジャズの広大な世界があると思って楽しみである。まあ、細野さんが「最近おもしろい」っていうのは、たぶんその一週間くらいの話なのでしょうけどね(笑)。

*1:詞はすべて松本隆だったし、大瀧詠一松任谷由実といった人たちが曲を書いていた。