晴。
シューベルトのアルペジオーネ・ソナタ D821 で、チェロはミッシャ・マイスキー、ピアノはマルタ・アルゲリッチ。この数日頭の中でこの曲が鳴っていて、とても頻繁に聴ける曲ではないので放っておいたが、我慢できなくなって聴いてしまった。マイスキーとアルゲリッチの録音があるのだな。CD を買おうか知らん。でもたぶんほとんど聴かないだろうから、まあこの You Tube でいいか。この曲はピアノが目立ってはいけないのだが、アルゲリッチはさすが、マイスキーの邪魔になることはまったくしていない。終楽章、ふらふらとシューベルトはどこへ行っちゃうのだろうというあたりも、二人とも申し分ない。これはいい演奏だな。自分にとってのベスト・パフォーマンスであるロストロポーヴィチ+ブリテンの録音にさほど引けを取らない、名演といって差し支えないだろう。
ハイドンの弦楽四重奏曲ニ長調 op.64-5 で、演奏はエルサレムQ。
ショパンの六つのマズルカで、ピアノはアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ。ショパンのマズルカからセレクトして五六曲、20分くらいで演奏する動画がないものかと探すのだが、なかなかない。これなどはちょうど条件に合うのだが、ミケランジェリはあんまり立派でちょっと大変。完璧なマズルカなのだ。若い人のとかで、そんなのがないだろうか。
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夕方、ドラックストア。カルコス。
羽海野チカ『3月のライオン 13』読了。ああ、このマンガおもしろいな。ラストは絶対にハッピーエンドにして欲しい。ってそうなるよね、これは。
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ツイッターのタイムラインを見ているとじつに物知りになれるなあと思う。何で皆んなこんな正しいことばかり言っているのだろうな。皆んな「正しいことリツイート病」(?)に罹ってないか。正しいことなんかどうだっていいのだよ。←バカ
ブログってチラシの裏だから、皆んなブログでつぶやけばいいのに。ツイッターってどっかのバカな大統領が愛用しているように、正義のメディアだよ。皆んな正義が好きなのだな。
僕も今日正しいことをリツイートしてみました。
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図書館から借りてきた、ヘレン・ミアーズ『新版 アメリカの鏡・日本』読了。萩原魚雷さんのブログ(1, 2, 3, 4)で知った本である。おもしろそうだったので、図書館にあるのがわかったから借りてきて読んだ。そうだな、どう感想を書くか。とりあえず、魚雷さんの感想とはまったくちがうというか、氏のそれにはあまり共感できないような読後感であった。はっきり言って、著者の「脳天気さ」には、しばしばウンザリすらさせられたことを告白しておく。著者は政治や戦争について、それまで深く考えたことがなかったように思われる。あらゆる戦争は「防衛的な」ものとして、自国の「正義」を根拠にして行われるということ、そして国家は国民に対して必ずウソをつくということ。著者はアメリカ政府がそのような存在であったことに驚き、その事実を大発見のように書きたてているのであるが、まったくナイーブであるとしか言い様がない。そんなことは、当り前のことではないか。僕はその二つの身も蓋もない事実をよいことであるとは思っていないが、だからといってそれが事実であることは確実である。その二つの事実がわかっている方には、本書を読む意義はあまりない。
それから、僕は著者がアメリカ人らしい fairness をもっていることは認めるけれども、どうもしっくりこないところがある。これはまったくの憶測で何の根拠もないことを断っておくが、僕には著者が日本あるいは日本人に対し、リスペクトの感覚をどうももっていなかったような気がする。どうも、日本は大した国ではないし、日本人も大したものではないが、それにしてはなかなかやるとでもいうような感じを受けてしまうのだ。著者は日本の国力が到底アメリカに及ばず、全力でアメリカが叩き潰すような存在ではなかったし、日本兵は鬼畜のような戦争マシーンどころか、アメリカ人の猛攻の前に進んで自殺するような弱兵であったと強調して、それなのにアメリカは日本を強大な悪の国であるとプロパガンダしたとアメリカ政府を非難しているが、それらはあるいは事実であったのであろうけれど、自分のような愛国的な日本人としては甚だおもしろくない話であった。大岡昇平の浩瀚な『レイテ戦記』を読んだ者としては、最悪の状況で日本兵がどう戦ったか、著者のいうことはそのまま受け止められない。僕はパヨクであるけれど、日本人が劣等人種とはあまり思いたくないのである。けれどももう一度断っておくが、以上はただの憶測にすぎない。著者は実際は、日本・日本人をリスペクトしていたのかも知れない。
いずれにせよ、本書は日本人に向けて書かれた本ではない。西洋人の一種の欺瞞を、その内部の人間が西洋人に向けて書いた本である。かかる西洋人の欺瞞に気づかない日本人がもしいるとすれば、本書はいまでも読む価値があるだろう。そしてここでも断っておくが、別種の欺瞞が日本人にもあることは明白だ。いまの政治状況など、そのような問題がいまさらに噴出しているといっても過言ではあるまい。何というか、なさけない話である。
- 作者: ヘレンミアーズ,Helen Mears,伊藤延司
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