古関彰一『日本国憲法の誕生 増補改訂版』

晴。のち雨。
早起き。


ショパンバラード第一番 op.23 で、ピアノはエフゲニー・キーシンキーシンだったらこの程度の演奏は何万回でも可能だろう。もう弾き慣れているという感じである。まあ文句のつけようがない演奏なわけだが、この曲はシューマンみたいな人が「パーフェクト」だと言った曲ですよ。この演奏には、チョコレートの話ではないが、ビターさが足りないのだ。お子様向けなのだ。何だかやな感じなのである。


ドビュッシーの「映像」第一集で、ピアノはスヴャトスラフ・リヒテル。まったくリヒテルにはどれだけ引き出しがあるのだ。びっくりしてしまう。あんまり「印象派」っぽい演奏ではなく、ふつうドビュッシーというと響きがお団子状態になって曖昧模糊としているのだが、これはじつにクリアである。どうもどんなふうにペダルを使っているのかなと思うのだが、悲しいかな楽器のことは何もわからない。誰か解説して下さい。特に第三曲「運動」など、レントゲンにかけたような演奏だ。しかし、これもまたドビュッシーなのである。こんなのは、リヒテルにしか可能でないけれど。


ヒンデミットの「交響的変容」で、指揮はヘルベルト・ブロムシュテット。なんつー悪趣味でダサい曲だ。ブーレーズが聴いたら罵倒しそう(笑)。でも、自分にも確かにこういうところもあるかなと思う。ほんとダサいけれどね。これ、マジメに書いてんの?と言いたくなる。少なくとも、全然「現代音楽」ではないよね。


ベートーヴェン交響曲第二番 op.36 で、指揮はパーヴォ・ヤルヴィ。フレッシュ! 新鮮! ベートーヴェンの音楽がまるで生まれたてのように演奏されている。これはこんな曲だったのだなと、改めて思わされるところが多かった。それに、第一楽章の終結部など、じつにカッコいい。まあ、ベートーヴェンなのだからもっとエラそうに演ってもいいのだろうとは思うが、こういう風だっていいのだよ。

プログラミングのネタを探している。手持ちの引き出しが少ないので困る。ああ、Ruby でプログラミングがしたい! でももっとスキルがないと楽しく遊べないので、C言語とか Haskell とかお勉強中。アルゴリズム・パズルを解くってのも手だが、やっていると段々むずかしくなって手に負えなくなったり。初心者プログラマでも遊べる「遊園地」ってないですかねえ。例えば自分でプログラミング言語を実装してみるとかすごく勉強になるらしいが、なんちゃって言語でもこれはさすがにレヴェルが高すぎる。総合格闘技だもんね、言語実装って。

Haskell をお勉強していると、関数型プログラミングってハマればすごいが、めっちゃ苦手な分野もあるという印象。データの書き換えが一切できないというのは両義的だ。少なくとも、関数型プログラミング絶賛の人がいうほど、万能ではないという素人考えを抱いている。要は慣れですよといわれるが、そうなのかな。

何だかプログラミングって、やればやるほどむずかしくなってくる感じ。その言語に合ったプログラミングというのがむずかしい。例えば Ruby と C では、考え方を替えないと両方でいいコードが書けない。とにかくシンプルで読みやすいコードを書くというのが自分のとりあえずの目標なのだが、一年くらい前に書いた C のコードなんかを見ると全然よくないのだな、これが。自分でも見づらいのである。脱初心者はむずかしい。

でも、一方で、ヘタでも何でもいいからとにかくコードを書くっていうのも大事なのだよね。まず書かないと何も始まらないので。まあこれは、あらゆることに言えるが。ついでに、ヘタなコードもブログとかで晒しておくと。誰も見なくてもよいのだ。

いま自分が欲しいのは、おもしろい RubyGem を紹介してくれるサイト。おすすめ Gem を紹介する記事やサイトはあるのだが、まずは殆どが Rails 用の Gem か、あまりにもメジャーすぎる Gem だったりする。誰もが知っているわけではないけれど、使ってみるとおもしろいよ的な記事が欲しいのだが。では自分で書けばといわれそうだが、やれればやってみたいけれど、とにかく自分ではまだあまりにも実力が足りない。誰かえらい人、やらないかな。

古関彰一『日本国憲法の誕生 増補改訂版』読了。本書についての感想は既に書いているので、基本的にそれとちがう読後感はない。本書は 500ページ近い分厚い文庫本で、実証研究を基本とするハードな学術書である。しかし扱っている題材が題材であるから、深く心を動かされた記述が少なくなかった。日本国憲法の「押し付け」問題はいまでもやかましい問題であるが、本書を読んでみて「押し付け」という観点を重要視しようという気分はとうに減退している。よく「押し付け」憲法を改定してこそ日本の独立は達せられるのだという主張があるが、自分は既にそれは寝言であると確信している。おそらく現行憲法の改定は、国家機能のさらなる強化とアメリカに対する従属のさらなる進行をもたらすものにちがいない。とにかく本書を読んでみたまえ、事実がどうであったかをまずは知るべきである。そして日本政府は、アメリカを始めとする諸外国同様、国家の一定期間を経過した歴史的文書はすべて公開すべきである。そして、これまでに流布されてきた紋切り型がどれくらい正しいものか、しっかりと実証すべきだ。本書は実証の過程から、松本烝治の悪質な道化ぶりや、鈴木義男の英雄的な奮闘などを掘り起こした。特に後者はあまり知られていないと思われる人物で、少なくとも自分はまったく知るところのなかった国会議員であるが、彼ひとりの存在を思っても、現行憲法がたんなる GHQ の「押し付け」であったなど、そう軽々しく言ってはいけないことである。とにかく、現行憲法をよいものとして作り上げるために努力を惜しまなかった人間は(GHQ 内も含め)少なくなかったことは明白で、一方、いまの与党にも野党にも、日本国民の平和と安寧のことを真剣に考えて憲法について発言している者がどれだけいるか、疑わしいものである。いまや、昭和も遠くなったし、昭和の戦争も遠くなった。そして我々の口は軽くなったのである。
 しかしまあ、そんな個人的な感慨はいい。自分としては、自分にはまだまだ知らないことが多すぎることを確信した。そして、知らないのはたぶん自分だけではない筈である。少しずつでも勉強していくしかあるまい。

日本国憲法の誕生 増補改訂版 (岩波現代文庫)

日本国憲法の誕生 増補改訂版 (岩波現代文庫)