こともなし

曇。
音楽を聴く。■C.P.E.バッハチェンバロ協奏曲ニ長調 H.472(アスペレン、参照)。■シューマン交響曲第三番 op.97 (バレンボイム参照)。第一楽章、第二楽章はせわしなさすぎ。この曲は「ライン」と呼ばれることがあるが、大河が流れるようなその悠揚迫らぬ感じをそういうのだと思う。それから、終楽章はもっとチャーミングな曲である筈。何だかゴチャゴチャやっている間に終ってしまう。全体的にバレンボイムにしてはまったくもの足りない。■ラロ:スペイン交響曲 op.21 (レオニード・コーガン、キリル・コンドラシン参照)。■ペルゴレージスターバト・マーテル (オリヴィエ・シュネーベリ、レ・パージュ&レ・シャントル・ドゥ・ラ・シャペル、ヴェルサイユバロック音楽センター)。驚愕の美しさ。伴奏はオリジナル楽器による室内楽的な薄い編成で、それが人声と混じりあい極美の音楽を作っている。もともとこの曲は稀代の傑作であり、現代オーケストラでも名演は少なくない筈であるが、それらは演奏形態としては誤りであることをこの演奏は教えてくれる。このスターバト・マーテルは26才で夭折したペルゴレージの最後の曲であり、これ以上美しい音楽は考えられないと思ってしまうほどの名曲であるけれども、これほどの演奏が可能であるとは。なお、指揮者のシュネーベリについては自分は何も知らない。この演奏はたまたま選んだというだけの偶然である。それにしても、モーツァルトはきっとこの曲のことを知っていたにちがいない。あまりにもモーツァルトを思わせるチャーミングさに満ちていて、でもペルゴレージの方が先達なのだよね。すばらしかった。

Giovanni B. Pergolesi:Stabat Mater/Musica Napoletana per la Festa della Vergine del Sette Dolori

Giovanni B. Pergolesi:Stabat Mater/Musica Napoletana per la Festa della Vergine del Sette Dolori


ブラームスの間奏曲集その他で、ピアノはヴァレンティーナ・リシッツァ。僕はもともとブラームスの間奏曲は好きだし、なかなかいい演奏だったと思う。特に選ばれた曲がいい。間奏曲以外に、op.118のバラードやロマンスを入れているのもよかった。唯一惜しいと思われるのは、最後をバラードop.10の第一曲で終えたこと。せっかくブラームス最晩年の余韻の深い曲たちをずらっと並べておきながら、最後だけ最初期の曲なのは、完全にミスマッチだと思う。op.10は全曲まとめて演奏されるべきだと思うし。そこだけは残念。でも、全体としてはよかった。これは You Tube のおすすめで聴いたのだけれど、無料でこれだけの演奏が聴けるとは、本当にすごいよね。

モーツァルトのピアノ協奏曲第二十二番。ピアノは我が岐阜県各務原市出身の上原彩子さん。この人のピアノは日本人ピアニストの典型というべき、ちょっと聴くと個性の感じられないそれで、とっさに失望させられるのであるが、よく聴いてゆくと色いろ考えさせられるのである。個性がないというよりは、無意識的にそれを殺しているとでもいうか。自分の個性なんかよりも、音楽の方が大切だとでもいう感じなのだ。実際この演奏を聴くと、モーツァルトのこの曲が(当り前だが)じつにいい曲だなあということを強く感じさせられる。ラストなど、とても印象的、感動的ではないだろうか。同郷のために自分の目が曇っているとかは万万ないと思う。上原さんはたぶん歴史に残るようなすごいピアニストではないかも知れないし、人気ピアニストになることもまずないであろうが、こういう人が地の塩なのだ。なんでも、ピアニストという仕事は一生ものだからと、敢て地元の高校に通ったり、結婚して子育てしたりもしていると聞いている。いや、色んな音楽家がいるなあ。
日本人ピアニストっていうのは、アジアの中でもやはり変っている気がする。中国人ピアニストは誰もすごく個性的だしね。韓国人のそれもあまり西洋人と区別がつかないようだ。上に書いたことは、日本人ピアニストの少なからずに多かれ少なかれ言えることではないだろうか。

Ruby で遊びだが結構おもしろいクラスを書いた。意外と使えるかも。
Ruby のメタプログラミングでカウンターを作る - Camera Obscura