小浜家族旅行(第一日)

日曜日。
またまたケチケチ家族旅行をしてきました。今度は福井県の小浜です。かつては京都への日本海側の玄関口であり、ゆえに京都・奈良との縁が深く、100を超える寺社があるという場所です。それから、父と母が26年前に二人で旅行したところでもあります。僕も学生の頃、それほど遠い場所ではなかったので何度も訪れようと思ったのですが、電車の便があまりよくなく、結局行かず仕舞いでした。以下なるたけ簡単に書こうと思います。
 小浜は岐阜からは意外に近い。7:36に自宅を出て、東海北陸自動車道名神高速道路、北陸自動車道、それから新しい舞鶴若狭自動車道で小浜まで150km、小浜ICを出たのが10時頃。天気はいまひとつだけれど、暑くないのは却って助かるかも知れない。まずは福井県立若狭歴史博物館へ。寺社巡りのガイドも手に入れようという目論見である。小浜の仏像の紹介と、あとは縄文から近代までの若狭の歴史を展望するという、まあよくある展示だった。杉田玄白らの訳した「解体新書」を所蔵するのがここの自慢である。ちょうどいま「木簡パスポート」という一種のスタンプラリーをやっていて、まずはここで「木簡」を貰った。あとで寺巡りをするとき「朱印」を押してもらって、色いろ仏像の写真のポストカードがもらえたのはよかったです。
 途中、「宝来屋」というところで食事。貸し切りということでダメかと思ったら、まだ少し時間があるということで食事をさせていただく。あとでわかったことだが、食べ物屋がこのあたりは殆どなく、また日曜休みが多くて、大変にありがたかったのだった。
 まずは明通寺へ。ここは本堂と三重塔が国宝で、確かに立派だった。薬師如来その他の仏像もよく、ここはお勧めである。ただ、小浜市街からはかなり遠いので、車でないと不便かも知れない。
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神宮寺へ。ここには特別な井戸があって、地下水脈が奈良まで繋がっているとされる。よく知られている東大寺二月堂の「お水取り」というのはここから水が送られているのを受けるのであって、ここでは「お水送り」という神事が行われるということである。小さな建物のなかに不思議な感じの井戸がある。また、神域が森閑としていて、苔がきれいだった。また、少し離れて鄙びた仁王門があった。かつてはもっと塔頭が犇めいていたと思わせるが、いまは田舎の風景である。細流があり、きれいなミゾソバが咲いていた。
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萬徳寺へ。ここには江戸時代、藩主が訪れた寺ということだ。円満なお相撲さんのような穏やかな顔の阿弥陀如来座像がある。いわゆる丈六。また、曼荼羅を模した庭園がある。借景なのでもあろう。紅葉の頃はさらによさそうである。少しだけ色づいていた。

国分寺へ。ここはつまり若狭国国分寺ということである。もちろん当時のものは残っていないが、大きな釈迦如来坐像があり、また薬師如来坐像は一等すばらしい。これは重文であるが、国宝級と言っていいものだった。ちなみに、両親は26年前にここに来ていて、断片的な記憶があるようだった。
 ここまではひとつのエリアを動いていたが、今度は少し離れた羽賀寺へ。どうでもいいけれど、田舎道を走っていたら、車の上に何かが「ガンッ」と落ちてきたのでビックリ。すぐに停車して上を調べたら、何ともなっていなくてホッとした。たぶん木の実か何かが落ちてきたのだろう。で、羽賀寺だが、ここの十一面観音菩薩像は素晴らしかった。行基作はただの伝説だろうが、そう言い伝えられてきたのもわかる気がする。それから、照明もよく考えられていると思った。これも国宝でもおかしくないだろう。
 また戻って圓照寺へ。ここには金色(こんじき)の大きな大日如来坐像(胎蔵界)があって、これは父が過去に見たのが印象的であったとのこと。禅坊主が写真ハガキをくれなかったので父はブツブツ文句を言っていたね。また、禅寺らしく庭園もあった。
 妙楽寺へ。ここには千手観音像があるのだが、お顔もたくさんあって、十一面観音ではなく二十四面もあったのは大変めずらしかった。二十四面なんていうのは、他では見たことがない。
これで今日一気に七つの寺をまわった。これでも小浜の寺社の一部なのだが、おおむね予定通り。多少肌寒いくらいの曇天であったが、暑くなかったのは幸いだったかも知れない。思ったとおり小浜は見応えがあって、趣き深いところだった。しかし、どこもひっそりしていた感じで、観光客も見ないところの方が多く、観光地としてさびれているのはたぶん事実だろう。確かに地味ではあるが、いいところでしたよ。
あとは小浜の「サンホテルやまね」へ。かつては(今の)天皇が皇太子のときに宿泊したりもしたようだが、いまは古くて落ち目のホテルという感じだった。ケチケチで選んだわけであり、まあ何の期待もしていなかった。それにしても、ウォッシュレットが壊れていたのには驚いたが。風呂は一応は温泉。夕食はホテルに頼まず、風呂を出たあと外食する。前もって三件調べておいて、非常に期待のできそうな「食彩 ごえん」をまず訪れたのだが、何と全席予約済だということだった。残念だったが、ネット上の評判がずば抜けていたので、まあこういうこともあるとは思っていた。で、次の候補である「きらく亭」へ。ホテルからは多少距離があり、トボトボと暗い中を三人で歩いていったわけだが、ここは空席があった。で、ここにしたのだが、結論的には我々にはとてもよかった。お酒も、海産物も、その他の居酒屋らしいメニューも、我々の舌には充分過ぎるほどで、じつに楽しく食事できた。さすがに海の近くのせいか、お作りなどはレヴェルが高くて大満足だったし、お代も良心的で、一発勝負としては運がよかったと思う。それにしても居酒屋は久しぶりで、つい学生時代を思い出したところもあった。
 あとは駅前にしかない唯一のコンビニでアイスクリームその他を買い、ホテルで皆んなで「真田丸」を見ながら食べたりなど。いい一日だった。