上田美和『自由主義は戦争を止められるのか』/宇野弘蔵『経済原論』

晴。小寒いくらい涼しい。

バッハのゴルトベルク変奏曲 BWV988。ピアノはグリゴリー・ソコロフで、1982年のライブ録音。先日ソコロフはよくわからないと書いたが(参照)、これは素晴らしい名演だった。ソコロフのピアノですぐ気づくのは、音のきれいさである。ちょっとペライアに似ている気もするが、ペライアよりはやわらかくて透明度がより高い。ゴルトベルク変奏曲の解釈はかなり独特なものなのだが、さほど違和感なく、素直に聴くことができた。とにかくソコロフは自分のもっていない感受性の持ち主なので、個人的に大変得るところが多い。この長時間の音楽を聴いたので、これでだいぶソコロフに慣れたように思う。他の演奏も聴きたいし、またたくさんのものが得られれば嬉しい。

ブラームス:二つのラプソディop.79。この曲が聴きたいなと思っていたらソコロフの演奏があったので聴いてみた。ゆっくりなところは極端にゆっくりだが、もうソコロフには慣れたようで違和感がない。ダイナミックなところは激しく力強い。この人もまたロシアの巨人的ピアニストたちのひとりなのだなと思う。

図書館から借りてきた、上田美和自由主義は戦争を止められるのか』読了。題からすると思想関連の本であるようにも見えるが、自分は歴史の本だと捉えた。芦田均清沢洌石橋湛山について書かれている。歴史の本ではあるが、自分がこれを言うのは不遜だけれども、著者は思想関連についてもよく学ばれているように見える。もちろん自分などに本書は評価できないが、他人に勧められるかと云われれば勧められると答えたい。それにしても歴史というものはむずかしい。最近では読めば読むほどわからなくなる気がする。例えば「歴史的評価」ということがあって、ある人物の正しい歴史的評価ということは可能なのだろうか? また、そもそも歴史から学ぶということは可能なのだろうか? こういうことは自分には問題が大きすぎるが、気になってしまうことはそうだ。まあ、どんどんさらにわからなくなってやろうとは思っているが。


図書館へ行ったら(臨時)休館日だった。ブックポストへ返却。しばらくあたりを散歩する。だるま堂で豆大福×3(356円)を買う。小さいけれどなかなかおいしいのだよね。
2016年秋_23
宇野弘蔵『経済原論』読了。有名な本。とてもおもしろかったが、わかったふりはしない。
経済原論 (岩波文庫)

経済原論 (岩波文庫)