晴。
音楽を聴く。■バッハ:フランス組曲第六番 BWV817、前奏曲とフーガ イ短調 BWV894 (ヒューイット、参照)。■バッハ:カンタータ第129番「主に賛美あれ」 (カール・リヒター、参照)。■サン=サーンス:チェロ協奏曲第一番 op.33、ダーヴィト・ポッパー:エルフの踊り、ドビュッシー:ミンストレル、月の光、スクリャービン:エチュード op.6-11 (ロストロポーヴィチ、マルコム・サージェント、参照)。ドビュッシーやスクリャービン、片々たる小品でもカッコいいなあ。■■シューベルト:ピアノ・ソナタ第二十一番 D960 (アラウ、参照)。アラウにシューベルトは一見いちばん合っているように思えるが、僕はどうもダメである。美しいし、もちろん悪いことはないのだが、シューベルトの底なしの深さが感じられないような気がする。どうしてなのだろう。確か即興曲集 op.90 の演奏でも似たようなことを思ったように覚えている。なお、いつも書くが、この曲の終楽章は前の三楽章とまるで性格がちがっていて、聴いていてつらい。これだけ別に演奏して、前の三楽章だけまとめて弾くなど試みてもいいように思う。■ドビュッシー:前奏曲集第一巻 (ワルター・ギーゼキング)。何ともすごいドビュッシーだ。ドビュッシーの思考範囲というのは大変な広さなのだが、ギーゼキングは完全に掌中に収めている。ギーゼキングはノイエ・ザハリッヒカイト(新即物主義)の音楽家を代表するとされるピアニストであるが、とにかく何を考えて弾いているのかさっぱり見当が付かない人だ。まるで楽譜そのものが聞こえてくるような、いわば「機械的な」演奏なのだが、これが同時に最高レヴェルの芸術表現になっているという、底知れぬピアニストである。不思議な人だ。どんな曲でも、一度楽譜を見ればすべて覚えてしまい、決して忘れることがなかったと云われる。完全に頭に入ってしまうので、間違って覚えると修正が効かなかったという、まあ本当か知らんという頭脳の持ち主であった。そのギーゼキングが得意としたのがモーツァルトとこのドビュッシーで、これもまた不思議な組み合わせである。残念なのは、録音がすべてモノラルであること。返すがえすも惜しい。
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図書館から借りてきた、堀江敏幸『彼女のいる背表紙』読了。「クロワッサン」連載のエッセイ集。オシャレな本だな。堀江さんのエッセイの結論的な最終行がわからないことが多い。
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