飯田家族旅行(第二日)

みな朝5時に起きてしまう。今日もいい天気で、昨日よりも暑くなりそうな気配だ。朝風呂に入ったりしながら、8:31宿を出立。飯田方面へ向いて、開善寺へ。ここはかつては広大な伽藍を誇ったのだが、戦禍に遭ったりして、今では山門しか残ってはいない。しかし、森閑とした林の中の山門は、なかなかの威容だった。これはよかった。敷地内にある飯田市考古資料館へ。僻地にある地味な建物で、どれくらいの人がここを訪れるか知らないが、悪くはなかった。伊那谷というのは縄文や弥生の遺跡がたくさんあるのだ。船に人が乗っている土偶などは、他に見たことがないものでおもしろかった。
2016年飯田家族旅行_37
旧小笠原家書院へ。この土地を治めた旗本である小笠原氏の館があったところで、小笠原氏が明治になって帰農する際に維持できなくなった館の一部(書院)が残っているものであり、管理人の方がとても熱心に説明して下さった。一々は書かないが、気持ちのいいものだったことは記しておきたい。それから、今ここが有名なのは、同じ敷地内にある小笠原家資料館のためである。というのは、これがいわゆる現代建築で、世界的に有名な建築家ユニット「SANAA」の妹島和世が設計しているからである。建築を学ぶ学生などの見学も多いと管理人の方が言っておられた。僕はSANAAの建築を実見するのは初めてで、たいそうオシャレなものであったことは事実である。なお、管理人が常駐する地下の部分は冬など恐ろしく寒く、また資料館の内部は夏は蒸し風呂のようで、冬は極寒らしい。空調ではとても追いつかないと、管理人の方がこぼしておられた。なるほど、見た目には非常に洗練されているが、これこそ現代建築なのだと何かわかったような気がした。書院の方が見えにくいところにまで気を配ってあるのとは対照的な感じがした。
2016年飯田家族旅行_40
2016年飯田家族旅行_44
思ったより時間を取ったので、飯田付近のそば屋「千秋庵」へ。ここは天ざる蕎麦が有名らしいので注文してみたら、濃い目の熱いつゆに最初からエビの天ぷらが入っていて、それに蕎麦をつけて食べるというもので、果たしてとてもおいしかった。値段も安かったです。
 九十九谷森林公園の九輪草の自生地へ。きれいに咲いていたのはよかったが、母が誤って湿地に尻もちをついてしまった。ありゃということで、近くで衣料品店に入ってズボンを買う。
2016年飯田家族旅行_51 そこから、昨日も訪れた飯田城址へ。今日は飯田市美術博物館が開いているので、行ってみる。敷地内にエドヒガン(桜)の巨木があった。柳田國男館と日夏耿之介館があるので、開けてもらう。柳田國男館はかつての民俗学研究所の建物で、明治らしい洋館だった。中は雰囲気があって、図書室は今では柳田の著作などが並んでいるのだが、こんなところで若い人たちと研究をしていたのだなと思う。
 日夏耿之介館は旧宅を復元したものだった。小ぢんまりした趣味のいい日本家屋で、多少の著者関連の資料が展示してある。まあ何ということもないと云えばそうであるが、じつは僕には飯田のイメージが日夏耿之介の出身地というものだったので、これでいちばんの宿題を果たすことができた気分だった。
 美術博物館は写真や、特別展で菱田春草の展示があった。まあさらりと見ておく。
 あとは、本当はもっと市内を歩きたかったのだが、あまりにも暑く、皆バテてきたので、「赤門」などを見て、少し歩いておしまいにした。
 帰りは飯田ICから中央道へ。恵那峡SAに寄って五平餅を食べたり、夕食にするものを買ったりしてから、土岐JCT東海環状自動車道へ入る。ここも初めて通る道で、片側一車線ながら快適だった。(紅葉の頃など特にいいのではないかと思う。)予想以上に早く抜けられて、美濃関JCTから東海北陸自動車道に入り、高速を降りる少し前、自宅が見える筈なので両親に見ていてもらったところ、ウチの三本の檜がちゃんと見えたそう。何だか妙にうれしかった。自宅着16:48、今日の走行距離は186.7km、二日間で410.4kmの観光旅行でした。いや、二日間とも暑かった。