玄侑宗久『四雁川流景』/津村一史『中東特派員はシリアで何を見たか』

曇。
音楽を聴く。■バッハ:ブランデンブルク協奏曲第四番 BWV1049(ミュンヒンガー、参照)。■モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 K.306 (パールマンバレンボイム参照)。■C.P.E.バッハチェンバロ独奏のための協奏曲イ長調 (アスペレン、参照)。特に第二楽章がいい。■ミヨー:弦楽四重奏曲第二番 op.12 (パリジQ、参照)。ミヨーは自分と交わるところが少ない。こういうのこそ役に立つのだ。■フリードリヒ・クーラウソナチネ イ長調 op.59-1 (ロレダーナ・ブリガンディ)。これはまたシンプルなソナチネ

Sonatas Variations & Rondos 2

Sonatas Variations & Rondos 2

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最近通販で買った商品が届くのが早くなった気がする。中部地方なのに、アマゾンも HMV もあっという間に来る。
プロジェクト・オイラーProblem 65。昨日書いたコードだが、ここに載せておきます。どうだ、Ruby すごいだろうと自慢する感じ。

def ra(i)
  a = (i % 3).zero? ? (@k += 2) : 1
  return Rational(1, a) if i == 100
  Rational(1, a + ra(i + 1))
end

@k = 0
a = Rational(2, 1) + ra(2)
puts a.numerator.to_s.chars.inject(0) {|r, i| r += i.to_i}

まつもとさんには独特の美学があって、便利なだけでは Ruby に機能を追加しないのだよね。昨日の「最近のruby-core」にもあったけれど、皆んな例えば [1,2,3].map(&:to_s(16)) みたいに書きたいのに、まつもとさんは OK を出さないのだよねえ(でも、僕も [1, 2, 3].map {|x| x.to_s(16)} で充分な気がする)。マクロも絶対に OK しない。そのまつもとさんの美学が、Ruby のコードのスマートさを生んでいるのだと思う。Ruby を便利でぐちゃぐちゃの言語にするのはそんなにむずかしくないだろう。そうすると Perl になっちゃう(Perl を disるわけではないので、お間違えなきよう)。
米屋。肉屋。スーパー。

玄侑宗久『四雁川流景』読了。短篇集。陳腐な形容で申し訳ないが、心洗われる小説たちだ。自分の中に溜った膿が消えていくようである。どれも相当に深刻な話ばかりだから、意外な感じだが、実際そうなのだから仕方がない。小説としての出来など自分にはわからないが、自分が玄侑さんを大いに好きなのはまちがいない。僕は「人生」を描いた小説は苦手なのだが、それはそれらの小説が上から目線だからなのだろうと自分では思っていて、そこで玄侑さんの小説は人生を描いて、まったく違和感がない。極東アジアの庶民の人生とは、まさしくこうなのだと思う。って云うのも賢しらかな。僕は読書ブログでも玄侑宗久の名を見かけたことがないし、玄侑さんを侮る意見しか聴いたことはないが、わからん奴は困ったものである。他の小説家についてはそういうことは言わないが、あんまり残念だから書いてみた。文学ばかりではなく、もっと目を養った方がいいと思う。

四雁川流景 (文春文庫)

四雁川流景 (文春文庫)

図書館から借りてきた、津村一史『中東特派員はシリアで何を見たか』読了。副題「美しい国の人々と『イスラム国』」。著者は2012年から2015年まで共同通信の中東特派員であった。当時の体験を、配信した記事と共に記している。「どうして戦争はなくならないのか。自分にできることは何か」というような素朴な疑問が持てる人で、まずは信頼に値するジャーナリストだと感じた。ちょうど「イスラム国」が台頭する時期に特派員をされて、可能なかぎりと思われる多数の取材をされていることが読んでいてわかる。犀利な分析よりは、戦争の皮膚感覚がわかる本になっていると云えるだろう(もちろんしっかりした分析もちゃんとありますよ)。色いろ、例えば邦人人質事件における日本政府のお粗末な対応と事後のお手盛りの報告書など、国辱を感じるところもあったが、まあ言わない。本書を読んでいてつくづく思ったのは、宗教対立云々もないではないが、とにかく民衆の欲しているのは平和なふつうの暮らしばかりなのであり、しかしお偉いさんたちのいちばん念頭にないのがまさしくそれだということだ。平和になったバグダッドで、悲惨な戦争を繰り返すくらいなら、シーア派スンニ派のちがいなど何だという市民の声は、本音であるように思えた。それからもうひとつ、アメリカってのは何なんだという疑問が離れなかった。凄惨な状況に置かれている人たちは、とにかくアメリカにうんざりしていることがわかった。まあこれもこれ以上書かない。自分も図書館になければたぶん読まなかった本だが、どこかで手に取る機会があったら、読んで損はない本だと確信している。
中東特派員はシリアで何を見たか 美しい国の人々と「イスラム国」

中東特派員はシリアで何を見たか 美しい国の人々と「イスラム国」

日本のジャーナリストにもまだまともな人が少なくないことがわかった。どうも、欧米のジャーナリストがそれほどすごいか、本書を読んで疑問も感じる(著者が欧米のジャーナリストを非難しているとか、そういうところはまったくないので誤解なきよう)。で、これほど危険地帯で取材を重ねた著者が、帰国して日本の平和っぷりのありがたさを実感しているのは印象的だった。本当に日本の現在の平和は貴重だ。