曇。のち雨。
音楽を聴く。■バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第三番 BWV1006(五嶋みどり、参照)。これは好演。五嶋みどりの美質がよく出ている。■バッハ:カンタータ第11番「神をその諸々の国にて頌めよ」(昇天祭オラトリオ)(カール・リヒター、参照)。うーん、素晴らしいなあ。
昨日話題にした伊勢崎賢治氏であるが、氏は国連職員として東チモールで部下に人を殺す命令(というと語弊があるかも知れない。つまりは戦闘命令)を已むを得ず出された方である。氏の本を読んでいると、ふつうの感性をもった人間がそういう命令を出すことが、如何に後々まで心に痼りとして残ってしまうものか、察するに余りある。また、シエラレオネで氏らの作り上げたインフラはすべて内戦で破壊され、それのみならず氏は自分にもう少し勇気があったら内戦という事態をある程度まで回避できたのではないかとすら思い悩む(事実的には氏にはそういう義務はまったくなかった)。僕ははっきり言って、氏には「男気」があると思う。しかし、こういう人を揶揄し、嫉妬し、罵倒する人間がいるということには、じつに言いようのない感じを与えられる。我々凡夫というのは、時にどうしようもない存在だ。平凡人は平凡人なりに、多少はマジメになることも時には必要なんじゃないだろうか。これは、自分にも言うことだが。
「人を殺す」ってことを時々ふと考えてみるのだけれど、これは永遠の課題だと思う。様々な人たちが考えぬいてきたことだが、もちろん結論などは出ない。最近は「自爆テロ」っていうのが当り前になってしまって、皆んな既に不感症になってしまった。何ということだろう、「自爆テロ」というのは。自分も死に、他人を殺す。それも、たいていは直接自分に「関係のない」人たちを殺す。その動機自体は、それほど不可解なものではなく、むしろ単純なものだ。しかし、その単純な動機で自分を殺し、他人を殺すことができるとは。そちらの方はまったくの難問である。時に命というものの価値は、限りなく軽い。そういうものなのか。
まあそんなことばかり考えていてはいけないな。ちょっと下らないことをやろう。
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昼からイオンの写真屋。しかしイオンは、平日のこんな時間から混んでいるな。まったくどこから湧いてくるのかと思うが、人のことは云えないか。
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図書館から借りてきた、佐藤正午『ありのすさび』読了。初佐藤正午。エッセイ集である。最初はちょっと苦手なタイプの文章かと思ったのだが、読み終わる頃にはきれいに宗旨替えしていた。特に最後のセンチメンタルな文章にはやられた。また淡々としたところは、なるほどさすがに野呂邦暢を血肉化しただけのことはある。それに、或る種の文章は或る種の女の子乃至女性にはたまらんだろうな。しかしね、この人の文章、笑えるんですよ。ってネガティブな意味ではまったくなくて、本当に声を上げて笑ったエッセイが二三ある。僕は笑える文章は大好きだ。なにげにキザで洒落ているところはこの野郎と思うが、おもしろいからまあ許す。そのうち小説も借りてみるか(買わなくて御免なさい)。
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