中村亨『リーマン予想とはなにか』/町田康訳の『宇治拾遺物語』

休日(成人の日)。晴。
朝寝坊。
何だか半日怠惰でした。
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図書館から借りてきた、中村亨『リーマン予想とはなにか』読了。いやもう、ブルーバックス最高ですね。「リーマン予想」なんてのは自分のレヴェルだと到底かすりもしないかと思っていたのだが、少なくとも問題の意味くらいはブルーバックスで説明できるのだということを実感して感動した。予備知識は高校数学と云いたいところだが、実際は複素関数論の初歩的な知識がひと通りないと、かなりキビシイとは思う。リーマン予想の中核となる式はいわゆるゼータ関数で、それは
    
てなもんである(s は複素数)。これだけで死にそうと思われるかも知れないが、頑張ればここまで到達できます。理系の大学生なら可能なので、是非チャレンジしてみて欲しい。きっと驚きます。とエラそうなことを書いているが、僕も複素関数論はまだまだ使いこなせていない。本書はじつに楽しかったので、もう少し勉強したくなりました。ホント、ブルーバックスやるね。

図書館から借りてきた、町田康訳の『宇治拾遺物語』読了。読んでいて笑いころげる。本当に『宇治拾遺物語』のオリジナルがこんなのだか知らないが、おかしくってしょうがない。町田康の抜擢は大成功である。古典の教科書やテストなどで見かけた話や、日本人なら誰でも知っている話(いわゆる「こぶとりじいさん」や「わらしべ長者」など)もあって、それを訳者がどう料理したか、堪能して欲しい。逐語訳などでは絶対にないが、これが原文の精神を損なっているかどうか、そんなことはないだろうと云いたい。昔の日本人だって、きっと冗談が好きで、こんなものを書いてしまったのではないだろうか。それから、だいたい外国語からの翻訳でも、笑えるのはごく少ないですよ。例えば『トリストラム・シャンディ』はオリジナルは笑える小説で知られているが、岩波文庫の翻訳では、ギャグが寒くて一行たりとも笑えなかった。とにかく、こんなのは滅多にないです。
 この翻訳は池澤夏樹編の、河出書房新社日本文学全集に収められている。この巻には他にも『日本霊異記』や『今昔物語』『発心集』が、福永武彦伊藤比呂美訳で収録されているので、これらも読んでみるつもり。