『ヤコブソン・セレクション』

雨。のち晴。
音楽を聴く。■バッハ:前奏曲とフーガ、アレグロ 変ホ長調 BWV998(イェラン・セルシェル、参照)。■ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第五番 op.102-2 (デュ・プレ、バレンボイム参照)。■ビゼー交響曲ハ長調バーンスタイン NYPO 1963)。なかなかおもしろい。

ロマン・ヤコブソンヤコブソン・セレクション』読了。これは素晴らしいアンソロジーだ。ヤコブソンは二十世紀の傑出した言語学者であったが、言語学だけでなく、哲学に興味がある人にも殆ど必読であろう。僕はよく知らないのだが、「隠喩」と「換喩」の対立の重要性を初めて指摘したのがヤコブソンなのではないか(本書の論文「言語の二つの面と失語症の二つのタイプ」)。いずれにせよその業績はあまりにも重要で、もちろん素通りすることは許されない。正直言ってヤコブソンは自分にはかなりむずかしいのだが、さらに読んでみたいと思うし、再読もしてみたい。平凡社ライブラリー、いい仕事をしていますね。

ヤコブソン・セレクション (平凡社ライブラリー)

ヤコブソン・セレクション (平凡社ライブラリー)

なお、本書最後の論文で、アインシュタイン(あの物理学者のアインシュタインである)と言語学の関係について述べられていて、自分のような物理好きには驚きの論文であった。中沢新一さんも書いていたが、相対性理論というのは同時代の芸術家たちを興奮させたのである。それにしても、ヤコブソンというのは不思議な人だな。言語学者にしてアヴァンギャルド