松浦寿輝『散歩のあいまにこんなことを考えていた』/川上未映子『発光地帯』

晴。
音楽を聴く。■バッハ:フルート・ソナタ第二番BWV1031(ラインハルト・ゲーベル、ムジカ・アンティクヮ・ケルン、参照)。第二楽章のシチリアーノがポピュラーだが、これが演奏としてはいちばん冴えない。ランパルの好演が思い出される。あとはよろしいね。■ブラームス弦楽四重奏曲第三番op.67(アマデウスQ、参照)。いいね。僕の精神的サプリメントになっているなあ。

早めの出勤。
図書館から借りてきた、松浦寿輝『散歩のあいまにこんなことを考えていた』読了。現代日本の代表的な「おフランス」の一人である松浦寿輝であるが、この人の小説は隅に置けないし、本書のようなエッセイもいい。この人の散文は、自分には違和感としっくり感が同時にあって、こうしたものこそ読みたいのだ。論文の類もいいけれど、著者の頭がよすぎて、ちょっと気楽に読むわけにはいかない。こういう文章だと、氏が歳を取っても青くさいのがよくわかって、まさしくこうでなければと思う。だいたい、これは伝統をたっぷりと溶かし込んではいても、決して「醇乎たる日本語」などではなくて、常に異物感を覚える文章だ。いかにもな例で申し訳ないが、世界のあらゆるハイセンスな文学を読み、ハイセンスな映画を観つつも、さりげなく山本直樹を読み、攻殻機動隊S.A.CのDVDを観ているのだから、若輩者のこちらがうれしくならない筈がないだろう。クラシック音楽やジャズだけでなく、ムード音楽もというのだから、いかにも出来すぎなくらいなのが著者らしい。こんな人だから、売れっ子にはならなそうだけれど、そんなことはいいではないか。

散歩のあいまにこんなことを考えていた

散歩のあいまにこんなことを考えていた

図書館から借りてきた、川上未映子『発光地帯』読了。少し前のエッセイ集。川上さんって、確か一昨日読んだ阿部和重の奥さんですよね。こんな尖鋭的な感覚をもった二人が一緒に住むって、可能なのだろうか。というくらい、川上未映子の感覚は特異だ。才能って、こういうことだと思う。身に付けようとしても、それは無理である。何せ、誰もが頭蓋骨をもっていると気づいて感動する人ですよ。やはりここでも、わけがわからないというのが好きだ。でも、川上さんって、こんなにガーリーな文体だったかな。形容がまちがってますか。で変な感覚だから、すごい。この人も生きるのがしんどいタイプなんでしょうけれど、作品で他人を元気づけることができるのだよね。才能って本当にありがたいです。
発光地帯

発光地帯


仕事から帰ったら、320GB HDD の再度の完全消去が終っていた。今度は 70440.1秒 (4.5MB/s) で、およそ十九時間半かかったわけだ。同じ機器で同じ命令を実行させているのだが、かかった時間がだいぶちがうのが不思議と云えば不思議である。まあ、Ruby スクリプトを走らせていてもベンチマークはいつも異なるので、当り前のことなのかも知れない。なお、昨晩寝ている間は冷房の利いていない部屋で実行させていたのだが、朝になったら PC も HDD も熱くてちんちんだった。仕方なく、弱い冷房をつけっぱなしで仕事へ行きましたよ。
 しかしその「完全消去」だが、本当に上手く行くのかね。疑問になってきている。だいたい、どうしてパーティションを切り直しただけではダメなのか。MBR の破壊も実行してみたが、Linux はまだ超初心者なので、何とも云えない。まあ、こうして Google 先生などに聞きながら勉強するのが楽しいわけだが。

もう少ししたら普段の日常に戻れると思う。八月は大変。