日曜日。曇。驟雨。
蝉が鳴いているなあ。
音楽を聴く。■バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第二番BWV1028(ラインハルト・ゲーベル、ムジカ・アンティクヮ・ケルン、参照)。■アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ第一番(ヒラリー・ハーン、ヴァレンティーナ・リシッツァ)。これは奇妙な曲。多少取り留めがない。ヒンデミットに似ているかな。でも、個人的に偶々開放感を感じたので、それはよかった。
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昼から図書館。図書館の三階で、林真(はやししん)の日本画展(参照)を観る。画家は一九七二年、岐阜県土岐市の生まれ。日本画ではあるが現代絵画風のタッチで、少し残酷な動物の画が特徴だ。弱肉強食の場面だとか、檻に入れられている様子だとか。描写力が高いので、グロテスクさが際立ち、シュルレアリスム風にも見える。なかなかよかったです。ちなみに無料だが、画を観ている人は一人もいなかった。
図書館から借りてきた、栄沢幸二『「大東亜共栄圏」の思想』読了。まあ何というか、驚くほど知らないことばかりですね。断片的な知識が肉付けされるおもしろさはあるし、思想やイデオロギーの生き死にの場所としても、この時代はとても興味深い。本書は一九三二(昭和七)年の五・一五事件直後から、「非常時」という言葉が様々な場所で多用されるようになるところから始まっているが、思考停止の言葉としてこの「非常時」という語が流通するわけである。たぶんこのような思考停止の言葉は、各時代にそれぞれ存在するものなのであろうが、これはこの時代にあって特徴的であった。「大東亜共栄圏」とか「八紘一宇」という語については、特に自分などが云うべきことはないけれど、今から思えばこんなにバカバカしく思われるイデオロギーでも、時代の指導語になってしまえば、それが振るう暴虐をどうすることもできなかったわけだ。それらが西欧の帝国主義を批判しているにもかかわらず、一方で無批判的に堂々と植民地主義を肯定して朝鮮半島や中国大陸を侵略していくのだから、言っていることとやっていることがまったく矛盾している。しかし正しいかどうかということで云えば、本当に各人が信じていたかは別として、その当時の日本ではそれが「正しい」ことだとされていたわけである。本当に、「正しい」かどうかということは、幾らでも理屈はついてしまうものなのだ。だからこそ、慎重に考えねばならないわけである。
それにしても、余りにも素朴な感想ではあるが、日本がこんな国だったこともあるのだ。「日本は神国だから負けない」とか、殆ど支離滅裂ではないか。これが当り前であれば、どんなデタラメでも許されるであろう。ここまでいってしまえば、理性で歴史の歯車を逆転させることなど、不可能である。
それから、「非常時」が進んでいくにつれて、「西洋由来」や「軽佻浮薄」ということが激しく非難されるようになるのも印象的だった。「モボ」「モガ」が批判され、ダンスやカフェやレビューが非難され、なんとヨーヨーで遊んでいるところまで腐されている。まったくアホかであるが、こういうことをマジメな顔をして言っている奴らがいたのだ。そしてこうした連中は、敗戦となると手のひらを返したように戦争非難に走ったりしたのである。
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