Paul Graham『ハッカーと画家』

晴。
午前中、雨樋の掃除。ウチには大きな檜が何本かあって、樹を切るのが好きでない手前、詰まる雨樋は時々掃除しないといけない。でもまあ、直ぐに終った。もちろん台風対策である。
音楽を聴く。■バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバソナタ第一番BWV1027(ラインハルト・ゲーベル、ムジカ・アンティクヮ・ケルン、参照)。これ、本当にいい曲。グールド盤などをもっている人は、是非聴いてみて下さい。■ハイドン交響曲第八十六番(バーンスタインNYPO 1967)。いやもう、ヤンキーのハイドン全開。たぶんやり過ぎなのだが、それにしてもまあ何と野蛮なハイドン! 決して悪い意味ばかりではないね。これは若い頃のバーンスタインしかできない。

図書館から借りてきた、Paul Grahamハッカーと画家』読了。有名な本。とてもおもしろい部分もあったし、つまらないところは全体の三分の一ほど読み飛ばした。著者は Webアプリケーションの生みの親なのかな。本書は成功譚であり、「ハッカーとは何者か」という主張でもある。内容は今ではちょっと古い部分もある。本書を読んで、やはり Lisp はやってみたいなと思った。Python はそんなにいいのかな。これもやってみたい。著者は Java は好まないようだ。Ruby についての記述が少なくて、その辺もちょっともの足りなかった。本書を読んでいると、「ハッカー」というのは極めてアメリカ的だというのがよくわかる。それから、僕も(低レヴェルなりに)デバッグが好きだ。しょっちゅう自分の古いコードを見返している。書き換えるところがあると楽しい。これは、Ruby のお陰かも。

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち


昨日「妥協」ということを書いたばかりだが…しかしねえ、テレビ中継される国会前のデモに何の感銘も受けないことは不可能ですよ。僕は行動する人ではないが、それでも首都圏に居れば、デモに参加した可能性が高いと思う。法案に賛成の人の考えもわからないわけではないが、やはり自分の考えはそちらではない。法案に賛成反対とは別に、僕は安倍首相が嫌いである。彼はこの法案は通す気でいるが、支持率が下がってくると、新国立競技場の建設案問題で譲歩してみせようとする。譲歩が悪いわけではないが、タイミングから見るに、この人には本当にポリシーがあるのか。敵たるに値しない、口の軽い女々しい(フェミニズム的には問題の語だが)男に思われて仕方がない。
 僕は集団的自衛権に関しては、自分の考えはあるけれど、それが正しいかは必ずしも自信がない。僕がリフレ政策支持で依拠してきた知識人たちは、高橋洋一にせよ田中秀臣にせよ、集団的自衛権支持である。僕はこの人たちの論理性は評価してきたので、自分の意見と彼らのそれが異なることに関し、自分の意見を心情的に絶対視できないのである。というか、彼らの判断は、対米従属一点張りという、竹を割ったように単純で、ためらいのないものだ(高橋洋一などは、集団的自衛権を肯定しないと、アメリカが助けてくれないぞと堂々と言っている)。そこのところが、とても支持できないのである。安全保障という分野は、経済学のようなシンプルな判断が通用するとは思えないのだ。
 まあそれはいい。これですべてが終ったわけではない。僕は「妥協」するが、考えることまで放棄するわけではない。色々なことをよく見ないと。特に沖縄。ここが最前線だ。国会前の人たちは、沖縄の方を向くべきである。
 自民党の議員その他に、マスコミの報道が「偏向」しているという不満をもつ者が居るが、「偏向」ならば問題かも知れないけれども、ジャーナリズムと権力が緊張をもった関係にあるのは当然のことである。権力はジャーナリズムを、常に例外なく、自分たちの都合のよいように利用しようとするものだからだ。民主党政権の時だってそうだったし、さらに云えば社会党政権の時でもそうだった。もちろん、政治家は常に国民を欺こうとしているなどと云うつもりはない。国民のことを思う政治家が殆どなのであろうとは思う。しかしまた、すべてが国民のためでもないのだ。真実はその間にあって、だから政治家とジャーナリズムは、緊張関係にあるべきなのである。それくらいでないと、今度はジャーナリズムが堕落する。これは、国を誤る元であるに他ならない。
 追記しておこう。僕は仮想敵国である中国に対抗するため、日米の「同盟関係」が必要だという考えが間違っているとは思わない。しかし今の日米の関係は、「同盟関係」ではない。軍事・外交的には、日本はアメリカの事実上の隷属国である。それは、今の沖縄の状況を見れば一目瞭然である。日米の「同盟関係」が必要なら、きちんと日米が対等な「同盟関係」にするべきであろう。ドイツは粘り強い交渉の末、既にそれを達成している。ドイツにできて日本にできないということがあるだろうか。取り敢えずは「日米地位協定」の撤廃であろう。集団的自衛権を云うなら、その後にすべきである。