晴。
音楽を聴く。■モーツァルト:ピアノ協奏曲第九番K.271(ピリス、テオドール・グシュルバウアー)。エラート時代の録音。最初は意外とマイナーっぽい感じで、必聴ではないかもと思って聴いていたのだが、そのうちぐんぐん惹かれていった。吉田秀和さんが言っていたとおり、モーツァルトのピアノ協奏曲につまらない曲はない中で、これはモーツァルトが特に力を入れて書いた素晴らしい曲である。今のピリスならちがった風に演奏するかも知れないが、これはこれで本質を捉えた、魅力的なものだ。しかしピリスだが、デンオン時代、エラート時代、DG時代と見てきて、本当に精進してきたなと思う。天才や偉大なピアニストというのは結構いるけれど、これほど伸びた演奏家というのは非常に少ないのではないか。もちろんそれぞれの時代で魅力はあるのだが、ピリスは普遍性への厳しい努力をしてきた筈だ。そういう意味でも感激させられた演奏である。
Maria-Joao Pires: The Complete Erato Recordings
- アーティスト: Maria Joao Pires
- 出版社/メーカー: Erato
- 発売日: 2014/06/10
- メディア: CD
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河出文庫版『ドゥルーズ・コレクション1』読了。初めてドゥルーズを読んだ気がしている。昨日もちょっと書いたが、アンチョコから想像していたのとはちがうドゥルーズが立ち上がってきた。たぶん秀才たちが思ってもみなかった読み方かも知れない。と言っても斬新な解釈とでも云うものではなくて、単に個人的なものである。秀才たちの書いたアンチョコたちはその性格上、ドゥルーズのテクストをパズルを解くように読んでいるが、僕が思うに、ドゥルーズの文章には深い「感情」が流れているように見える。僕は感傷的な人間でもあると自覚しているが、そうした人間でもドゥルーズは読めるのだということ。例えば、ドゥルーズはしれっとした顔で冗談を言ったり、淡々とムカついていたり、また笑っていたりするのだ。そんなことは当り前? そうかも知れないが、そういう初歩的なことを、誰も言ってくれなかったと思う。
それから、ドゥルーズの言っていることは、時には「現代思想」のタームとはちがった用語で言い直さねばならないだろう。例えばドゥルーズの「差異」という概念を、仏教のタームで語ってみるとか(まだ自分にはできませんが)。
しかし、頭が悪いってつまらない。もう少しかしこかったら、ドゥルーズはもっとおもしろいだろうに。秀才たちが羨ましいところもありますね。
- 作者: ジルドゥルーズ,宇野邦一,Gilles Deleuze
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/05/11
- メディア: 文庫
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- 作者: 大澤聡
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- メディア: 単行本
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