『D・G・ロセッティ作品集』

日曜日。曇。のち晴。
音楽を聴く。■テレマン:序曲「序曲と悲喜劇的組曲」TWV55-D22(ペイエ、コレギウム・インストゥルメンターレ・ブリュヘンセ、参照)。■バッハ:カンタータ第28番「神は頌むべきかな!今や年は終わり」(カール・リヒター参照)。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第二番K.280、第九番K.311(ピリス、参照)。■■ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第一番op.78(ズーカーマン、バレンボイム参照)。我が偏愛の曲。ズーカーマンがいい。バレンボイムはちょっとミスマッチか。

『D・G・ロセッティ作品集』読了。南條竹則、松村伸一編訳。いや、嬉しい不意打ちだった。ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの詩文集が読めるとは。やはり、さすがに岩波文庫というしかない。文字どおり、むさぼり読みましたよ。ロセッティをデカダンスと云ってよいのか知らないが、自分には紛れも無く世紀末芸術の担い手であり、デカダンスの画家・詩人であると思われる。尤も、清新なところが魅力でもあるわけだが。画家としても詩人としても恐らく一流の中には入れられまいが、そんなことはいいのである。自分にはまさしく、悦ばしきマイナー・ポエットなのだ。最初は詩の方から読み、とても惹きつけられたが、小説の中の「とりなしの聖女アグネス」はまた格別だった。どうしてこれにこう惹かれるのかはまったくわからない。この小説は未完であるが、ここまででも充分である。確かに、この小説をどう終わらせるか、むずかしいところであろう。主人公が狂気の縁で引き返したように読めるところで終っているが、そのままいってしまってもよかったのかもしれない。どうも、恋人のメアリーの処理を誤ったような気がする。だから、うまく終らせられなかったのではないか。
 なお、ウォルター・ペイターのロセッティ評が収められているのも嬉しい。翻訳は特筆すべきもので、時には文語も用いられるなど、凝って訳してある。達成度も高い。古臭い文学がお好きな人には、是非薦めたいと思う。

D.G.ロセッティ作品集 (岩波文庫)

D.G.ロセッティ作品集 (岩波文庫)