武村政春『巨大ウイルスと第4のドメイン』

晴。
ああ、よく寝た。昨晩寝る前に読んだ澁澤龍彦が、劇的に効いた(別に精神的サプリメントとして使うわけじゃないですけれど)。しかし、考えてしまう。文明論的問題でしょう、これは。
音楽を聴く。■バッハ:鍵盤、ヴァイオリンとフルートのための三重協奏曲 BWV1044(シフ他、参照)。悪くはないけれど、もっと潤いが欲しい。パサパサ。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第十四番K.457、幻想曲ニ短調K.397(ピリス、参照)。ピリスはベストではないかも知れないが、それでも素晴らしいな。■シベリウス交響曲第四番(カラヤン1965)。カラヤンはちっともわかりやすくない。不遜かも知れないが、この演奏がわかる人がそう沢山いるとは思えない。自分にも謎である。(もちろん素晴らしいということである。為念。)

武村政春『巨大ウイルスと第4のドメイン』読了。「巨大DNAウイルス」(nucleo-cytoplasmic large DNA virus: NCLDV 核細胞質性巨大DNAウイルス)ってのは知らなかった。ミミウイルスとかパンドラウイルスとか(写真を見ると、あまり気持ちのいいものではない)。もちろんウイルスというのは「生物」と認められていないのであるが、著者らはこれを「生物」と認めようという立場である。題名の「ドメイン」というのは「超界」と訳され、一九九〇年にウーズという研究者によって提唱されたものである。これまでの「五界説」と視点を変えて、これまでの原核生物界を「古細菌アーキア)」と「細菌(バクテリア)」に分け、残りを「真核生物」として纏めたものだ。このように在来は三つのドメインがあると考えられてきたが、巨大DNAウイルスは第四番目のそれだというのである。
 本書はこの巨大DNAウイルスが進化に果した役割を想像するのだが、とにかく仮定の話が多い。著者が強調するように、本書の内容はまだわかっていないことが多すぎて、数年経てばゴミ箱行きかも知れないのだ。科学のリアルタイムの現場の雰囲気はわかるから、それを楽しもうという人向けだろう。正直なところは、まあまあおもしろかったという感じだろうか。もちろん、巨大DNAウイルスの存在自体は疑いなく、これらが大変な謎を秘めているのも確かだろう。リーダブルであるし、科学好きなら読んでも損はないのではなかろうか。(AM2:07)