ホッブズ『ビヒモス』

晴。
音楽を聴く。■ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第三番op.108、第二番op.100(ムター、ワイセンベルク参照)。第二番もなかなかいい曲だな。もっと聴こう。■シューマン:間奏曲op.4(ル・サージュ、参照)。得るところのある曲だが、最後が呆気ないな。■ベートーヴェンモーツァルトの『魔笛』の主題による12の変奏曲op.66、ヘンデルの『マカベウスのユダ』の主題による12の変奏曲WoO.45(ロストロポーヴィチ、Vasso Devetzi、参照)。どうでもいいが、WoO.45 の主題って、例のアレだよね。何か、国旗が掲揚されそう。ピアノの Devetzi は知らないが、なかなか生き生きとした伴奏。

ホッブズ『ビヒモス』読了。よくもこんな本が文庫に入ったと思う。岩波文庫だなあ。ホッブズの中ではマイナーで、あまり読まれてこなかったらしいし、正直言ってそれほどおもしろい本ではない。本書はイギリスのいわゆる「清教徒革命」に対する、徹底的な批判である。ホッブズは、いわゆる「長老派」も議会も、クロムウェルもまったく認めない。徹底的に王権(チャールズ一世)を擁護する。これは自分には意外であった。だからはホッブズは「革命」などと認めないし、実際に本書では「イングランド内戦」と捉えられる。またその「イングランド」というのが問題含みで、当時はスコットランドも(当然)アイルランドも、イングランドとは別の国であった。実際、ホッブズこそが Great Britain という政体を(言論面から)創り出した人物のひとりであると見なす考え方もあるようなのである。そしてそれはホッブズには、イングランドが中心になるべきものであった。
 本書はその「内戦」の経緯が細々と書かれており、それがメインであるから、おもしろくないと云えばおもしろくないのである。読み方としても、当然『リヴァイアサン』を前提に読まれるべきものであろうから、自分などには何を云うこともない。いや『リヴァイアサン』についてなのですけれども、紋切り型の通説くらいなら多少は知らないでもないが、自分はきちんと読めていないのだよなあ。もう忘れてしまった。ルソーやロックと共に読み直したいのは山々なのだが、なかなかねえ。(AM1:24)

ビヒモス (岩波文庫)

ビヒモス (岩波文庫)

林達夫を読む。