中沢孝夫『中小企業の底力』

晴。
音楽を聴く。■バッハ:四台のハープシコードのための協奏曲BWV1065、イタリア協奏曲BWV971、三台のハープシコードのための協奏曲ハ長調BWV1064、幻想曲とフーガBWV904、三台のハープシコードのための協奏曲ニ短調BWV1063(アスペレン、参照)。■R・シュトラウス弦楽四重奏曲イ長調op.2(デルメSQ、参照)。佳曲佳演。あまりポピュラーでない曲を、なかなか魅力的に演奏している。貴重なディスクだ。R・シュトラウスはもっと聴きたい。■ツェルニー:ピアノ・ソナタ第五番op.76(マーティン・ジョーンズ)。このディスクが興味深いのは、ピアノのジョーンズの手柄も大きいな。清潔で表現力のあるピアノだ。

Piano Sonatas Vol. 1

Piano Sonatas Vol. 1


うどん「恵那」にて昼食。恵那ころ蕎麦1000円。
図書館から借りてきた、中沢孝夫『中小企業の底力』読了。いわゆる「モノ作り」の中小企業の、主として中国や東南アジアにおける海外展開についてレポートしてある本。現場をよく見て書かれてある。さて、日本企業が育てた東南アジアの「モノ作り」企業も、今ではかなりの技術をもつようになったが、未だ日本の本社における問題解決能力の高さまでには達していないらしい。それは、取引企業の質の高さが日本ではまだ圧倒的であるからだ。その意味で、まだ日本の本社の役割は不可欠なのだそうである。しかし、これほど日本に技術が海外に移されると、それこそ「空洞化」ということが心配になってしまうが、上に記した問題解決能力の高さや、労働者の質の高さもあって、これに海外企業が追い付くことはそれほど簡単なことではないらしい。それに、海外進出を成功させている企業は、日本本国における業績もよいという。それだけ、様々な面で質の高い企業という証しだからだ。
 また、日本におけるいわゆる「年功序列型」の企業形態は、最近ではもっぱら批難の対象であるが、(中小の)製造業においてはそれは必ずしも当たらないと著者は云う。技術的なノウハウを多く持つのは、当り前だが経験の多い社員であるに決まっているからだ。また著者は、優秀な製造業の会社は、人材は自分たちのところで育てていると指摘する。これも当り前の話で、強い企業こそオリジナルの技術をもっており、それはその会社で身に付ける必要があるからだ。だから、著者は大手メーカーの「即戦力」が欲しいという発想を、はっきりと自殺行為だとして否定する。すぐ使える人材は、すぐに使えなくなるのである。
 それにしても、著者の目から見ても、日本の大手電機メーカーはお先真っ暗のようだ。すでにかなりの部分で「浅い」技術しかもたなくなっているようである。関連企業での情報の共有も、廃れてきているそうで、これは怖ろしいことではないか。これでは、外国企業のキャッチアップを容易に可能にしてしまう筈である。韓国のサムソンなどを見ても、確かにそういうことであろう。これは、同じ製造業でも、自動車関連の企業ではまったくちがうらしい。自動車関連の企業では、今でも「深い」技術を必要とするからである。優秀な車を造るのは、未だにそう簡単なことではないのだ。
 上にも書いたが、著者は現場を長年にわたってよく見てきており、その知見は貴重であろう。それから、これは本書の話からちょっとずれるが、本書のような新書は、主に第一次産業第二次産業に関して多いようだ。おそらく第三次産業に関してもあるのであろうが、自分の管見に入ってきていない。ちょっと気にしておこう。
例えばインターネット・エラー503が出た場合、それに対して行動を起こせるようなプログラムは書けるのかな(Perl など)。たぶん出来ると思うのだが。(※追記 やはり可能。LWP::Simple モジュールで普通にできる。)