西村賢太『苦役列車』/レベッカ・ブラウン『家庭の医学』

晴。朝は寒いくらい。
音楽を聴く。■ツェルニー:ピアノ・ソナタ第四番op.64(マーティン・ジョーンズ、参照)。ツェルニー、絶対おもしろいって。■マリピエロ:Sinfonia per Antigenida(デ・アルメイダ、参照)。■スメタナ弦楽四重奏曲第一番「わが生涯より」(ヤナーチェクQ、参照)。好演。

西村賢太苦役列車』読了。著者から見れば、何不自由ない恵まれた生活を送っているであろう者が、本書をおもしろいと云ったら著者はどう思うか知れないが、とにかくグイグイと読まされる。表題作の野蛮さこそ、文学ではあるまいか。こんな小説、今では著者以外の誰に書けるだろう。貧乏臭さ、劣等感、イタさの極致だけれども、(それを目指したわけではあるまいが)ユーモアさえ漂っている。文学が死んでいなかったとは。しかし、石原慎太郎が文庫解説とは、これも冗談だろうか。腑抜けきった文章だが。

苦役列車 (新潮文庫)

苦役列車 (新潮文庫)

レベッカ・ブラウン『家庭の医学』読了。柴田元幸訳。母親が癌で死んでいくのを見守る、ただそれだけの小説。読ませないことはないけれど、つらい。訳者解説によれば介護文学の濫觴だというのだが、介護文学ねえ…。
家庭の医学 (朝日文庫)

家庭の医学 (朝日文庫)


ネッツトヨタへ、定期点検。
BOOK OFF。7冊買う。
最近数学の本が読めなくなっていたので、下の記事を書く。数学の世界に入りたかったら、「写経」をするのがよい。使った教科書はまたこれ(わかりやすくするために、かなり文章を補った)。志村五郎先生が腐していたのは、この本の著者のことだったのか。この本はわかりやすいのだけれど、さすがに志村先生は厳しいねえ。
ちくま学芸文庫アルティンによるガロア理論の本が入っているので、ちょっと挑戦してみるか。まあはね返されるとは思うが、どこまで行けるか試してみるのもおもしろいんじゃなかろうか。ただ、記号の使い方が多少独特だから、そこはどうしようかなあ。
ネットをだらだらと見ていて、知らぬ間に時間が経っているというのはどうしたものか。別に悪いことだとは思わない。そうした感覚を究めたいくらい。でも、ネットに無限感覚があるかと云えば、まだ本の世界には到底かなわない気がする。例えば数学の世界だけでも、それだけで世界は無限だ。ネットの中では、プログラミングの世界は結構眩暈を感じる。それでも、まだ例えば音楽の世界にもかなわない。ただ、プログラミングの世界は、現代世界の一種の秘密に関わっている。ネット技術など、特にそう。これはおもしろい。ちょっと攻殻機動隊の世界を感じると云うか。