ヨーゼフ・ロート『ラデツキー行進曲(上)』

曇。どうも晴れないなあ。
音楽を聴く。■バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第二番BWV1028 (ムジカ・アンティクァ・ケルン、参照)。■モーツァルト:ピアノと管楽のための五重奏曲K.452(参照)。佳演。■ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲第四番op.83(エマーソンSQ、参照)。

北海道の富良野から送ってもらった、白い玉蜀黍を皆で食べる。生で食べるのだけれど、甘い牛乳のような味がして、とても美味しかった。
ヨーゼフ・ロートラデツキー行進曲(上)』読了。オーストリア=ハンガリー帝国の解体が背景にある小説で、本書はもっぱらその前夜である。戦場で皇帝の命を救ったということで、農民から貴族になされたトロッタ一族が主人公だと云えよう。短調が基調音である、もの悲しい小説で、ストーリーテリングも上手く、結構読んでいて惹き込まれる。第一次世界大戦で古きよきヨーロッパは失われてしまうが、まさしくそのことを描いた小説なのだろう。しかし、冷静に考えると、この小説の何に惹かれるのだろうか。自分には、かかるブルジョワ世界は、何の関係もない筈なのだが。かのシンプルな世界観に惹かれるのか。確かに、現代世界は複雑だ。それは、そう云うのが陳腐なほど当り前のことである。過去が回復されることは、あり得ない。以下下巻。
 しかし、岩波文庫ってのはありがたいね。これが新刊で出ているのを見ると、ホッとする。教養主義とかは、あんまり関係がないです。本当におもしろい本が入っているのだもの。エンターテイメントもいいのだろうが、自分はあまりエンターテインされないのだよなあ。いや、ロートだって通俗だという人がいるのもわかるのですが。

ラデツキー行進曲(上) (岩波文庫)

ラデツキー行進曲(上) (岩波文庫)