安部公房『箱男』

晴。酷暑。アスファルトの上は、四〇度を超えていた。
音楽を聴く。■バッハ:パルティータ第一番(アンジェラ・ヒューイット)。オーソドックスないい演奏。ピアノで弾かれている。

6 Partitas for Piano

6 Partitas for Piano

チェリビダッケの指揮で、ブラームス交響曲第一番を聴こうとしたのだが、あまりにもかったるくて挫折。チェリビダッケには、時々こういうダルな演奏がある(3/28でも同じことを書いていた)。■シューマン:ピアノ協奏曲op.54(アルゲリッチ、アレクサンドル・ラビノヴィチ=バラコフスキー)。どうも自分にはピンとこない演奏。ライブ録音で、聴衆は熱狂しているのだがね。アルゲリッチはともかく、ラビノヴィチ=バラコフスキーの指揮はあまりにも迫力に欠けるように思うのだが。アルゲリッチも、個人的にはこの曲はミスマッチだと思う。この曲の優雅な感じが出ていない。切れ味はさすがだけれど。
Triple Concerto

Triple Concerto


安部公房箱男』読了。有名作だが、特に面白くもない。ダンボールに覗き窓をつけた「箱男」とは、窃視症のメタファーだろうか。本作において、匿名的な「覗き」というのが大きな役割を占めている。それは確かに現代的ではあろう。インターネットも「覗き」の一種と思えば、さらにアクチュアルでもあろう。さらに発展させて、本書から「視姦」ということも考えることができそうだ。実際にそれに相応しい女性キャラクターも出てくる。しかし、本書はあまりにも安易に「思想化」できそうであるところが、自分にはつまらない。文学部の卒業論文で、本作を対象にしたものがどれほどあるか、というものだ。いわゆる「中二病」向けだとも云えそうである。
箱男 (新潮文庫)

箱男 (新潮文庫)