小川洋子『まぶた』

晴。
音楽を聴く。■シューベルト交響曲第九番アバド参照)。長い。長すぎる。シューマンのように、「天上的長さ」と評していいものか。他の演奏も聴いてみねばなるまいが。

小川洋子『まぶた』読了。短篇集。小川洋子の幻想世界としては、比較的現実寄りの話が多いような印象だが、それでもその独自なテイストは、まったく彼女らしいものである。静謐で、どこか狂ったかのような、どこか残酷なような、そんな世界だ。断言はできないが、自分には彼女の幻想世界は、日本人だからこそ書けるようなものである気がする(もちろん、外国人にはわからないとか、そうした意味ではない)。本書では最後の短編以外、話者はすべて女性で、これも彼女の小説によく合っている。あと、これは個人的な話だが、「バックストローク」はどこかで読んだ覚えがある。どこで読んだのであろうか。それはともかく、小川洋子カフカとすら比較してしまいたくなるほど、才能のある書き手だと確信している。小川洋子ファンゆえの勇み足だと、お笑いください。

まぶた (新潮文庫)

まぶた (新潮文庫)

またやり直しだな。常に同じ位置には居れない。