清水真木『感情とは何か』

晴。
音楽を聴く。■バッハ:フランス組曲第五番、第六番(ルセ、参照)。こんなチェンバロ奏者がいたとは。気に入ってしまった。■ベートーヴェン交響曲第八番op.93(カラヤン1962)。アンチ・カラヤンの言うこともわからないではないのだが、六〇年代のカラヤンを聴いてそう言うのかいと問いたい。いいですよ、これは。■ベルリオーズカンタータクレオパトラの死」(ジェシー・ノーマンバレンボイム参照)。歌詞を見ていても、フランス語がいまひとつ聞き取れない。英語対訳を見ると、クレオパトラのモノローグで、大した話ではないような。ベルリオーズにしては、それほど個性的な曲ではないと思う。

清水真木『感情とは何か』読了。一読して、自分にはあまり関係のない書物だとわかった。サーベイくらいにはなろうが、本書を読んで自分が得たものは殆どない。「感情の哲学史」といった、大風呂敷を広げた内容もともかく、著者はえらい先生なのだろうけれど、紋切り型のお説教にはうんざりである。副題のアーレントも、最後の一二頁にちょろっと出てきて、感情の哲学に何の関係があるのか(アーレントの「共通感覚」? これにはもっと説明が必要でしょう)、よくわからない扱いを受けているだけではないか。まあ、自分のような読者が間違っているのだろう。読んだ奴が悪かったね。
※追記 山下ゆさんの新書批評も参照のこと。これは自分の文章などとはちがって、きちんとした、フェアなものです。