鹿島茂『この人からはじまる』

日曜日。曇。花冷え。
音楽を聴く。■ハイドン弦楽四重奏曲第四十番(op.33-4)、第三十七番(op.33-1)(ロンドン・ハイドンQ、参照)。第三十七番は要再聴。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第八番K.310(リヒテルLive1989)。第一、第三楽章は最高の演奏。第二楽章はわずかにテンポが速すぎるか。

ラヴェルピアノ三重奏曲(トリオ・ヴァンダラー)。佳演。
Trio Wanderer

Trio Wanderer

アルビノーニ:五声のソナタop.2-6,2-5(イ・ムジチ合奏団)。

鹿島茂『この人からはじまる』読了。昭和三十年代の、寵児的創業者たちの評伝とでも云えるだろうか。著者は本書を、「昭和三十年代に起こった文化システムの革命を扱う」(p.271)本だと述べている。扱われているのは、自分の知らなかった、名前も聞いたことがなかった人が殆どであるが、とても面白かった。著者らしく「俗」なる領域に強く踏み込んでいて、キャバレー王や芸能プロダクションの長などを描いて、単なるブキッシュな人間には書けない本になっている。読んでいると、昭和三十年代という、敗戦から日本がまた強く羽ばたき出した時代の、活気を感じずにはいない。この時代の、己が世界を創るのだという衝動は、世界が出来上がってしまってからの時代である現代と、大きく異なっているのは云うまでもない。時代というものが何なのか、考えさせられるところもある本である。