小保方さんへのバッシングについて/内田樹『街場の大学論』

雨。
昼から、ネッツトヨタで車の点検。点検のときは車を洗ってくれるのだが、あいにく雨なのだった。待ち時間は内田樹を読んで過ごす。内田は笑えるのがいい。笑える文章は、なかなか書けない。車は結局、特に異常はなかった。
散髪。

音楽を聴く。■ハイドン:ピアノ・ソナタ第二十番(ブレンデル)。

ハイドン:ピアノ・ソナタ第20番・第49番

ハイドン:ピアノ・ソナタ第20番・第49番


内田樹『街場の大学論』読了。上にもあるとおり、最初は笑って読んでいたのだが、そのうち粛然としてしまった。本当に日本の教育は大丈夫なのかというのは、日頃の自分の疑問でもあるのだが、現在の大学がこんなに恐ろしい状態に陥っているとは。とにかく、親も子供も、金のために勉強しているということを疑ってもみない。勉強ほどおもしろいことは、世の中に他にはまずないのだが、金のために勉強するとなると、一番対費用効果の高い勉強をさせてくれと、教師に要求することになる。「それを学ぶことで、いったい何の役に立つのか」ということは、今の子供たちが平気で言うことである。いや、それを云うのはいいのだけれどね、じつは彼らは「一番金になることを教えてくれ」と言っているのである。そりゃ金はものすごく大事で、自分も金は欲しいが、じつに陳腐な言なのだけれど、本当に金がすべてでいいのかね。人生で一番大事なことは、金を貯めることなのですか? まあ、そういう人は普通の人だというのは、自分もわかっていないわけではないし、それを否定する人を「偽善者」呼ばわりするものだと、知ってはいるが。
 何だか自分のことばかり書いたが、内田樹の教育論はかなり腑に落ちました。知らないことはネットで検索すればいい、というよくある意見に対して、内田樹は、物を知らない奴は、その検索する語句も知らないのだと述べている。そのとおり。それから、財界人などには、地方の役に立たん大学など潰してしまえとか、大学は役に立たんことなどは教えず、即戦力を育てよ、などと云う奴らが少なくないそうだが、これも内田樹のいうとおり、愚か者の云うことである。そんなことをすれば、日本があっという間に凋落することが、どうしてわからないのか。人材を育てるというのは、缶詰を作るのとはわけが違うと、内田樹のこれも仰るとおりです。しかし、これは内田樹とは関係がないが、日本で一番ひどい顔をしているのは、政治家でも官僚でもなく、財界人である。これは確実なのだ。それからもう一つ。今の親も子供も、価値観の根底が不確かな幻想である。実体のない幻想が、あまりにも大きな、生きる目的になっている。本当の生きる幸せは、例えば普段の普通においしいごはんにあるということが、わかっていないのではないか。偉そうですが。
街場の大学論 ウチダ式教育再生 (角川文庫)

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書くかどうか迷ったのだけれど。例の小保方さんの問題だが、自分もネットやマスコミの雰囲気で論文は「捏造」だったのかと、漠然とそういう気になっていた。しかし、文芸評論家の山崎行太郎氏のブログを読んだりするうち、いい加減な憶測がまたいい加減に変ってきたのだった。なぜかネットで流通していないのだが、一週間ほど前に、小保方さんのチームがSTAP細胞の再現に成功したと、理研が発表しているらしい。これから推測されるのは、理研はまだSTAP細胞の再現を疑っていないことと、それから小保方さんのチームが、恐らく必死で追試していることである。これは推測だが、小保方さんのチームでもSTAP細胞の再現は確実ではなく、その確実化に向けて(これも必死で)研究が進められているのではないか。もし捏造なら、これだけバッシングされているのだから、もうとうに諦めていると思う。僕の推測などいい加減なものだが、小保方さんらに何らの問題もなかったとは云わないけれど、今となっては、そう簡単にバッシングを受け入れる気持ちはないのである。終わり。
※参考 冷静な視点である。
サイエンスとサピエンス「STAP細胞の研究疑惑に関する論点」
http://d.hatena.ne.jp/Hyperion64+universe/20140313